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少年口伝隊一九四五
ショウネンクデンタイイチキュウヨンゴ
「少年口伝隊一九四五」は、井上ひさし氏が広島の被爆者の姿を描いた、2008年初演の朗読劇です。
この台本に、ヒラノトシユキ氏による描きおろしイラストを添えて、小学生から読める戦争の物語として刊行します。
「少年口伝隊」は、原爆投下後、印刷機能を失った中国新聞社がニュースを口伝えで知らせる「口伝隊」を組織したという事実をもとに書かれた朗読劇です。広島の惨状と、その中で懸命に生き、死んでいく少年たちの姿が胸を打ちます。
井上氏が2010年に他界してからも、「少年口伝隊」は繰り返し公演されています。井上ひさしさんのメッセージを、子ども読者にも伝わりやすい形にした本書は、未来に残したい一冊です。
●あらすじ
1945年8月6日朝、米軍機が投下した原爆によって広島は壊滅した。広島の日治山のふもとに住む国民学校6年生の英彦、正夫、勝利の少年3人はかろうじて生き残ったものの、そろって家族を失った。3人は、新聞を発行できなくなった中国新聞社が急きょ組織した口伝隊に雇われ、ニュースを口頭で市民たちに伝える。
しかしニュースの内容を知って、少年たちは大人たちの変節ぶりに激しい怒りをおぼえる。また、アメリカが原爆の「効果」の調査団を送りこんでいると聞いて、英彦の頭の中はくやしさで煮えたぎる。
9月になると、巨大台風、やらに山津波と高潮が広島を襲い、勝利は水害で命を落とす。正夫も原爆症で死去。15年後、英彦も原爆症のため、20代の若さで世を去る。
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書誌情報
紙版
発売日
2013年06月26日
ISBN
9784062183628
判型
A5
価格
定価:1,430円(本体1,300円)
ページ数
80ページ
初出
「井上ひさし全芝居」(新潮社)所収の「少年口伝隊一九四五」をもとにして、年少読者に配慮し、一部表記を改めたもの。
著者紹介
1934年山形県生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒業。劇作家、小説家。放送作家として、人形劇「ひょっこりひょうたん島」の台本を手がける。戯曲に「日本人のへそ」「道元の冒険」「兄おとうと」「父と暮せば」など、小説に『ブンとフン』『手鎖心中』『吉里吉里人』『四千万歩の男』『東京セブンローズ』など多くの作品がある。直木賞、読売文学賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞ほか受賞多数。2009年、日本芸術院会員に選ばれる。 「九条の会」の呼びかけ人の一人であり、憲法の大切さを訴える活動にも力を注いだ。子ども向けの作品に『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』(いわさきちひろ・絵)、『「けんぽう」のおはなし』(武田美穂・絵)などがある。2010年4月9日、肺がんのため逝去。
1984年広島県生まれ。東京都在住。大阪デザイナー専門学校研究科イラストレーションコース卒。卒業後、デザイン会社に勤務し、2009年よりフリーランスのイラストレーターに。現在は書籍、広告、雑誌、webなどを中心に活動中。