数学の誘惑

数学の誘惑

スウガクノユウワク

殺人事件や給与、結婚、賭博、交通渋滞――日常、非日常のあらゆる場面を少し違った角度から見てみると、数学の豊かな世界が立ち上ってくる。数学は学生時代の苦行や無味乾燥な数字と記号の羅列ではなく、人間生活に密接なかかわりを持つものであることを17の章を通じて著者は訴えている。


フランク・ブルマイスターは、ほぼ安全にルーレットで勝つ方法を知っている。首尾一貫して黒に賭け、赤が出たら賭け金を倍増するというやり方だ。ところが、ほとんどありそうもないことが起こる。玉が11回続けて赤に落ちたのだ。ブルマイスターは1万ユーロ以上の損失を出し――そして、多少の学びを得る。つまり、期待値と「大数の法則」のことを……。

日常生活の中の「数学」を掘り下げることで、知的好奇心を満たしてくれる一冊。

本書は17の章から成り、各章は再現ドラマ風の前半部分と数学的解説の後半部分に分かれる。再現ドラマのテーマは、殺人事件や給与、結婚、賭博、交通渋滞など多岐にわたり、中には古代ギリシャが舞台になったものもある。

そういった日常、非日常のあらゆる場面を少し違った角度から見てみると、数学の豊かな世界が立ち上ってくる。数学は学生時代の苦行や無味乾燥な数字と記号の羅列ではなく、人間生活に密接なかかわりを持つものであることを17の章を通じて著者は訴えている。


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目次

1 大きな数もこわくない ゲーテの6つの分子
2 ガソリンスタンド殺人事件 条件付きの容疑者
3 3つのステップでうまくいく 天才も間違えることがある
4 平均給与を受け取っているのは誰か 中くらいの人を探せ
5 結婚問題 もっといい人がいるかもしれない
6 計算された選挙結果 減らした方が多くなることもある
7 偽装されたレポート ベンフォードの奇妙な法則
8 公正なゲーム 完璧な勝利法
9 秘密結社の殺人 「黄金比」
10 女性の問題 多い方が少ないこともある
11 男性の空想 ビールと脚と極値の話
12 時は金なり 魅力的な提案
13 ルート計画 大臣の外遊
14 マンハッタンの街角で ピタゴラスの定理裁判
15 数学の音色 バッハの暗号
16 交通の流れ 渋滞にはまった銀行強盗
17 円積問題 インディアナ州の円周率法案

書誌情報

紙版

発売日

2016年04月20日

ISBN

9784062185066

判型

四六

価格

定価:2,200円(本体2,000円)

ページ数

290ページ

著者紹介

著: クリストフ・ドレッサー(クリストフ・ドレッサー)

1958年生まれ。ボン大学で数学を学んだ後、約10年にわたってフリージャーナリストとして活躍。この間に、米マサチューセッツ工科大学で科学ジャーナリスト特別研究員として1年間を過ごす。 現在、ドイツ高級紙『ツァイト』の学術部門編集部員として、1997年からコラム「Stimmt's?(それ、ほんと?)」において、日常生活に潜む都市伝説に関する読者の質問に答えている。また、同紙の学術雑誌『Zeit Wissen』創刊時には編集長を務めた。さらに、ベルリン・ブランデンブルク放送と北ドイツ放送のラジオコラムにも出演中。それらの業績に対し、2005年にはジャーナリスト専門誌『Medium Magazin』の「今年の学術ジャーナリスト」に選ばれ、2008年にはドイツ数学会からメディア賞を授与されている。

訳: 福原 美穂子(フクハラ ミホコ)

1973年、大阪府生まれ。ドイツ語翻訳家。高校時代をドイツで過ごす。学習院大学大学院人文科学研究科ドイツ文学専攻博士後期課程満期退学(単位取得修了)。 訳書に『特捜部Q キジ殺し』『特捜部Q Pからのメッセージ』『全貌ウィキリークス』(以上、共訳・早川書房)、『心を上手に透視する方法』『青い象のことだけは考えないで!』(以上、サンマーク出版)、著書に『ドイツ語レベルアップトレーニング』(共著・三修社)、編訳書に『ドイツ語の基本』(共編訳・三修社)などがある。