存在しない小説

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存在しない小説

ソンザイシナイショウセツ

文芸(単行本)

フィラデルフィア、ペルー辺境の村、クアラルンプール、東京、香港、クロアチアの海辺……世界各地で、未知なる小説が発見された!はたして「作者」は誰なのか? 「ポスト3・11の文学」と大反響を呼んだ『想像ラジオ』に続く、いとうせいこう待望の最新作。


フィラデルフィア、ペルー辺境の村、クアラルンプール、東京、香港、クロアチアの海辺……世界各地で、未知なる小説が発見された! 国境を超えた声なき声が同時代のリアルを映す、新たな「地球文学」の誕生。

「背中から来て遠ざかる」:人生のどん詰まりから抜け出すため、フィラデルィアからニューヨーク行きのアムトラックに乗りこんだ男の回想の行方は…。
「リマから八時間」:ペルー辺境の村にやってきた日本人の小男は、この村で死んだ女の家に「存在しない小説」があるという。
「あたし」:豪雨のため浸水したクアラルンプールで、マレー人の少女はチャイナタウンに迷い込む。
「能楽堂まで」:妙見菩薩像を海に沈めた私は、過去に追われるように都内を流されていく。
「ゴールド」:極貧から成り上がり香港に通う中国人男とロシア人娼婦の愛と破局。
「オン・ザ・ビーチ」:今から10年先、クロアチアのリゾートホテルに滞在する老人が自分を監視する警備員のノートを盗み読むと…。

いま地球上のさまざまな場所で、声なき声が織りなす「存在しない小説」。はたして、「作者」は誰なのか?
「ポスト3・11の文学」として大反響を集めた前作「想像ラジオ」に続く、いとうせいこうの最新作。


目次

「背中から来て遠ざかる」アントニオ・バルデス
「リマから八時間」ファナルド・スアレス
「あたし」ラーマト・ラマナン
「能楽堂まで」いとうせいこう
「ゴールド」王健業
「オン・ザ・ビーチ」ラルフ・アウスレンダー

書誌情報

紙版

発売日

2013年11月26日

ISBN

9784062186834

判型

四六

価格

定価:1,540円(本体1,400円)

ページ数

278ページ

初出

『群像』2013年4月号~9月号

著者紹介

著: いとう せいこう(イトウ セイコウ)

いとうせいこう 1961年東京都生まれ。作家、クリエイター。早稲田大学法学部卒業後、出版社の編集を経て、音楽や舞台、テレビなどの分野でも活躍。1988年、小説『ノーライフキング』でデビュー。1999年、『ボタニカル・ライフ』で第15回講談社エッセイ賞受賞。他の著書に『ワールズ・エンド・ガーデン』、『解体屋外伝』、『ゴドーは待たれながら』(戯曲)、『文芸漫談』(奥泉光との共著、文庫化にあたり『小説の聖典』と改題)、『Back 2 Back』(佐々木中との共著)など。2013年3月に刊行した16年ぶりの小説『想像ラジオ』は 第149回芥川賞候補、第26回三島由紀夫賞候補に上がるなど大きな反響を集めた。

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