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惑星の岸辺
ワクセイノキシベ
- 著: 梶村 啓二

宇宙飛行士の甘南備俊介は、五十八年九か月の眠りから目覚めた。木星衛星調査船で低温睡眠に入っているとき、太陽フレアの爆発で船が軌道を逸脱したのだ。地球の周回に入ってから回収され、たったひとり帰還した彼は、いちやく英雄となった。
甘南備を待ち受けていたのは、国際宇宙開発機構が精密に組み上げた回復訓練プログラムで、橘ムラサキという若い専任医務官が担当することになった。橘自身がかつて事故に遭い、このプログラムの経験者であった。
訓練が始まって、甘南備は不思議なことに気づく。橘のふとした仕草が、25年前に亡くなったはずの妻の葵のそれと重なるのだ。彼は次第に訓練の時間を心待ちにするようになるが……。
時空を超え、記憶という愛は甦るのか。大人の心を揺さぶる、ミステリロマン。
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書誌情報
紙版
発売日
2015年09月17日
ISBN
9784062197182
判型
四六
価格
定価:1,870円(本体1,700円)
ページ数
314ページ
著者紹介
(かじむら・けいじ) 2011年、『野いばら』で第3回日経小説大賞受賞。他の著書に『「東京物語」と小津安二郎』、『使者と果実』がある。