名画修復

名画修復

メイガシュウフクホゾン・フクゲンガアカスカイガノホンシツ

ブルーバックス

ゴッホは絵の命を延ばすためにあらゆるテクニックを駆使した。
1949年1月26日、法隆寺の金堂から出火、壁に描かれた日本最古の絵画は無惨にも焼けただれた。幸い外形だけは残ったものの、火を浴びた壁画は、綜が消失したり、逆に化学変化で浮き出したりした奇妙な絵であった。1990年より、この絵は最新のコンピュータで図像解析され、1994年、当時の材料で、色鮮やかに甦った。ところで、修復作業中に興味深い事実がわかった。この絵は、型紙を用いて、極めて規格的に制作されたものだったのである。高松塚古墳の壁画も同じ手法で描かれたこともわかった。名画の復元は、時として思いもかけない事実を呼び起こすことがあるのである。


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目次

1 1点の絵が生まれるまで
2 修復とはどんな仕事か
3 大修復時代の到来
4 修復の前と後
5 発見と論議
6 予防保存学の提唱
7 修復を待つ遺跡群

書誌情報

紙版

発売日

1995年05月16日

ISBN

9784062570688

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

1068

ページ数

190ページ

シリーズ

ブルーバックス

著者紹介