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台湾ナショナリズム 東アジア近代のアポリア
タイワンナショナリズムヒガシアジアキンダイノアポリア
- 著: 丸川 哲史

日本人にとって台湾とは何なのか
親日か反日か。統一か独立か。
しばしば二項対立で語られがちな台湾ナショナリズムは、日本と大陸中国、冷戦期とポスト冷戦期、米国のプレゼンスの低下と中国の台頭など、長期的かつ複数の視座で整理すると今なお続く東アジア近代のアポリア(難題)として見えてくる。日本人にとって重要な歴史経験でもある「台湾問題」を、詳細に読み直す。
【目次】
序 章 なぜ「台湾ナショナリズム」を考えるのか
第1章 日本が見た台湾
第2章 大陸中国が見た台湾
第3章 東アジア冷戦/ポスト冷戦が見た台湾
第4章 東アジア近代が見た台湾
結語に代えて 複数のプロセスとして見ること
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目次
序 章 なぜ「台湾ナショナリズム」を考えるのか
第一章 日本が見た台湾
1 近代日本の膨張主義と台湾
明治維新が目指したもの/征韓論と台湾出兵/帝国主義の潮流の中で/下関条約と台湾割譲
2 日本近代の進展と植民地台湾の「発展」
台湾領有戦争の暴力/特別統治主義から内地延長主義へ/霧社事件と日本人/皇民化期の台湾
3 戦後日本と台湾の関係
カイロ会談と東アジア/渋谷事件と二・二八事件/白色テロと日台土地改革の意味/一九六五年という画期/一九七二年という画期
4 植民地モダニティというアポリア
八田與一問題から/世界と東アジアのポストコロニアル言説/戦後日本の植民地忘却/日本観の複雑さ/台湾意識の発生
第二章 大陸中国が見た台湾
1 中国革命と戦前台湾
辛亥革命と民族意識/第一次世界大戦後の世界的潮流/五・四新文化運動/中国革命への認識
2 抗日戦争・内戦と国民党政権の移転
総力戦と台湾/抗日戦争/国共内戦と中華人民共和国の成立/国民党の台湾移転
3 大陸中国の経済成長と台湾内部の変容
朝鮮戦争から改革開放まで/天安門事件から南巡講話へ/湾岸戦争後の展開/大陸中国への反応
4 中国ナショナリズムが見た台湾
アヘン戦争、日清戦争、日露戦争、満州事変/孫文の観点/中華民国の台湾観と光復運動/中国共産党の台湾観
第三章 東アジア冷戦/ポスト冷戦が見た台湾
1 台湾理解への鍵
光復の期待と失望/二・二八事件をめぐる歴史認識/挟まれた時期/白色テロの発動
2 脱冷戦への胎動
蔣介石の総統復帰と日華平和条約/米華相互防衛条約と孫立人事件/金門島(及び馬祖)の砲撃戦/自由主義派知識人の活躍
3 東アジア冷戦構造の変容
「保衛釣魚台」運動/「党外運動」の活性化/美麗島事件の意味/戒厳令解除
4 ポスト冷戦時代の東アジアと台湾
「台湾化」に向かって/「九二年コンセンサス」をめぐって/李登輝の転換/陳水扁政権から馬英九政権へ
第四章 東アジア近代が見た台湾
1 前近代中国が見た台湾
福建からの視点/前近代中国と台湾/沖縄、朝鮮と台湾/華僑社会と台湾
2 国民国家、帝国植民地主義、グローバリゼーション
東アジアにおける国民国家形成/帝国/植民地の記憶と台湾/冷戦構造と台湾ナショナリズム/グローバリゼーションの波の中で
3 アジア的思考を媒介として
アジアのアイデンティティ/西洋からの自立の難しさ/アジア的思考は可能か?/アジア的思考の今日性
4 東アジア近代のアポリアとしての台湾
世界史的近代の中の東アジア/東アジアにおける「主権」と「主体」/台湾を通じて「主権」と「主体」を考える/世界史的近代の中の台湾
結語に代えて 複数のプロセスとして見ること
あとがき
参考文献
索引
書誌情報
紙版
発売日
2010年05月08日
ISBN
9784062584722
判型
四六
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
通巻番号
472
ページ数
226ページ
シリーズ
講談社選書メチエ
電子版
発売日
2015年08月28日
JDCN
0625847200100011000X
著者紹介
1963年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科単位取得退学。明治大学政治経済学部准教授。専門は東アジア文化論。 主な著書には、『台湾、ポストコロニアルの身体』『リージョナリズム』『台湾における脱植民地化と祖国化』『日中一〇〇年史 二つの近代を問い直す』などがある。