
ワーズワス 田園への招待
ワーズワスデンエンヘノショウタイ
- 著: 出口 保夫

自然の美しさの愛し方、語らい方が深まる1冊
イギリスで最も美しいといわれる湖水地方を愛し続けた桂冠詩人の観照と思索の軌跡。現代人がいつの間にか失ったゆったりした時間と自然の語らいが取り戻せる本
ワーズワスはイギリスのみならず、西洋の精神史の中で、自然との対話にめざめた最初の詩人として位置づけてよいのだが、彼の詩想はまた、2つの世紀の転換期を生きるわれわれ日本人にも、多くの示唆をあたえているように思える。ワーズワスという詩人は、たしかにイギリスの美しい湖水地方で生を享け青春の放浪の旅を経て、ふたたび故郷に帰って「定住者」となったが、決してすんなりとそこの自然を受け容れたのではなかった。ワーズワスの自然との対話が、彼の悲劇的な喪失と地獄の体験のあとに可能となった事実を、われわれはとくに心をとめておくべきだろう。自我の欲望をかぎりなく抑えることによって可能となる自然との共生、そのうえに高い精神性をもって築かれるワーズワス的「シンプル・ライフ」は決して過去のものではない
- 前巻
- 次巻
目次
序章 湖のある風景
第1章 記憶の中の自然
第2章 「嵐の時」とその後
第3章 自然と対話をする詩人
第4章 ドイツ冬の旅
第5章 グラスミアの家と故郷再生
第6章 スコットランドの旅
ワーズワス年譜
書誌情報
紙版
発売日
2001年04月19日
ISBN
9784062720694
判型
新書
価格
定価:924円(本体840円)
通巻番号
ページ数
240ページ
シリーズ
講談社+α新書