地名に隠された「東京津波」

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電子あり

地名に隠された「東京津波」

チメイニカクサレタトウキョウツナミ

講談社+α新書

東京の高低図に照らして地名を探りながら、東京の地形と地名の安全度、危険度、震災への心構えを、読者に「立体的に」また「蘊蓄をもとに」気づかせようというのが、本書のねらいである。


◇東日本大震災により、東京湾でも船橋に2.4mの津波が襲い、浦安は大規模に液状化した。東京にもっと大規模な地震や津波がおそったらという想定は、ありえないものではない。この機に地名研究家である著者は、東京の高低を記した古地図を入手。そこで改めて、東京が起伏の多い地形であり、いまそれが高層ビルの乱立や地下鉄による移動などで見えづらくなっていること、また、山の手と下町で「山」「丘」「台」、「川」「橋」「江」など地形や水に関する地名が多いことなどを確認した。
◇そこで本書では、東京の古地図をじっくり見て、著者の地名についての蘊蓄も傾け、各地域の高低差や土地利用などから、もし地震や津波がおそったときに危険な場所、安全な場所を指摘しようとする。
◇たとえば「水に関わる地名の場所は、危険度が高い」。渋谷、千駄ケ谷や日比谷は谷、深川も品川も小石川も川。浅草は浅い草が生えた湿地で、早稲田は田んぼ。飯田橋、水道橋みな低地。池袋はいま高地にあるが、もとは低地の地名。代官山や戸山は高地で、より安全。また古地図からみると、もともと海、砂地、河川敷、新田だったところで液状化が起こっている。
◇さらに、本書は、江戸・東京の立地や過去の震災の歴史から、東京が震災に耐えてきたものの、「砂上の楼閣」であることも改めて指摘する。
◇東京の高低図に照らして地名を探りながら、東京の地形と地名の安全度、危険度、震災への心構えを、読者に「立体的に」また「蘊蓄をもとに」気づかせようというのが、本書のねらいである。


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目次

第1章 東京湾を巨大津波が襲ったら……
第2章 土地の高低感を忘れた東京人
第3章 東京の低地地名からのメッセージ
第4章 東京都心部の危険地名からのメッセージ
第5章 東京の谷底地名からのメッセージ
第6章 安全な町はどこだ?
第7章 東京は生き残れるか

書誌情報

紙版

発売日

2012年01月20日

ISBN

9784062727457

判型

新書

価格

定価:922円(本体838円)

通巻番号

ページ数

194ページ

シリーズ

講談社+α新書

電子版

発売日

2013年02月08日

JDCN

0627274500100011000N

著者紹介

著: 谷川 彰英(タニカワ アキヒデ)

1945年、長野県生まれ。東京教育大学大学院博士課程修了。筑波大学教授・副学長を経てノンフィクション作家。博士(教育学)。柳田国男研究をベースに、地名研究、マンガ論、食文化研究など幅広く取り組む。著書に、「地名の魅力」「京都 地名の由来を歩く」「京都奈良「駅名」の謎」「大阪「駅名」の謎」「東京・江戸 地名の由来を歩く」など多数。地名の由来、来歴、変遷など地名研究の第一人者でテレビ出演も多い。

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