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金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日
キムジョンウンノカクガキタチョウセンヲホロボスヒ
- 著: 牧野 愛博

「いつでも核を撃てる」。核大国化する一方で、当局も手を焼く不正・賄賂・麻薬。荒廃する北朝鮮社会と、それでもしたたかに生きる人々を、インテリジェンスに精通する朝日新聞ソウル支局長が活写する。
「いつでも核を撃てる」。
核大国化する一方で、当局も手を焼く不正・賄賂・麻薬。
荒廃する北朝鮮社会と、それでもしたたかに生きる人々を、インテリジェンスに精通する朝日新聞ソウル支局長が活写する。
<本文より>
金正恩の母・高英姫は存在が深く秘された存在だった。在日朝鮮人の娘として生まれ、金正日や高級幹部を接遇する「喜び組」に選抜されたことが契機となって金正日の3番目の妻として迎えられたとされる。在日朝鮮人は、北朝鮮では「帰胞(キポ)」と呼ばれ、二級国民としての扱いに甘んじていた。金日成ら抗日パルチザンの密営があり、金正日もそこで生まれたと宣伝した「白頭山血統」という金看板で着飾った北朝鮮指導層とは対極をなす存在だった。
よりによって、そんな結婚が許されるというのか。
金正日は高英姫を、ただの一度も父・金日成に会わせることはなかった。次男の正恩も祖父に会うことはなかった。高英姫と3人の子どもは金正日の別荘、特閣に住み、外界とは厳しく隔離された。1984年1月8日に生まれた正恩は1996年9月にスイスに留学するまでの間、この特閣暮らしを強いられた。この間、竹馬の友とも言える友人を持つことを許されなかった。いつも一緒に遊ぶ人間は兄の正哲か妹の与正。それ以外は過剰なまでの阿諛追従を連発するお付きの人間しかいなかった。
こうしたゆがんだ生活がいったい、正恩に何をもたらしたのか。過剰な自己愛と母親への同情心、父親への憎しみだった――。
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目次
まえがき
第1章 金正恩の素性
第2章 身を滅ぼす政策
第3章 恐怖政治と粛清
第4章 世界をまったく知らない男
第5章 金正恩斬首作戦
第6章 たくましく生きる人々
第7章 金正恩と日本
あとがき
書誌情報
紙版
発売日
2017年02月21日
ISBN
9784062729741
判型
新書
価格
定価:924円(本体840円)
通巻番号
ページ数
192ページ
シリーズ
講談社+α新書
電子版
発売日
2017年02月24日
JDCN
0627297400100011000T
著者紹介
朝日新聞ソウル支局長。1965年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大阪商船三井船舶(現・商船三井)に勤務し、1991年、朝日新聞社入社。瀬戸通信局、政治部、販売局、機動特派員兼国際報道部次長、全米民主主義基金(NED)客員研究員などを経て現職。著書に『北朝鮮秘録 軍・経済・世襲権力の内幕』(文春新書)、『戦争前夜 米朝交渉から見えた日本有事』(文藝春秋)がある。