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ブラフマンの埋葬
ブラフマンノマイソウ
- 著: 小川 洋子

ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している〈創作者の家〉。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた――。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。(講談社文庫)
読めば読むほどいとおしくなる。
胴の1・2倍に達する尻尾の動きは自由自在、僕が言葉を発する時には目をそらさないブラフマン。
静謐な文章から愛が溢れだす。
ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している〈創作者の家〉。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた――。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。
朝日を遮るものが何もない庭の真ん中に、2人で寝転がる。僕は草の上に、ブラフマンは僕のお腹の上に。
みぞおちに頭を埋め、首の後ろをベルトのバックルで固定し、下腹にお尻を載せている。少しでもたくさん光を浴びられるよう、脚は4本とも水かきを開いてだらんとさせている。僕が深呼吸すると、膨らむ下腹に合わせてうまくお尻をくねらせる。――<本文より>
第32回泉鏡花賞受賞作
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書誌情報
紙版
発売日
2007年04月13日
ISBN
9784062756938
判型
A6
価格
定価:550円(本体500円)
ページ数
192ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2013年12月13日
JDCN
0627569300100011000M
初出
’04年4月、小社より刊行。