ケルトの水脈

ケルトの水脈

ケルトノスイミャクコウボウノセカイシ

「最初のヨーロッパ人」と異貌のキリスト教
伝説と史実から探りあてる「幻の民」の「歴史の記憶」

ローマ文明とキリスト教におおわれる以前、ヨーロッパの基層をなしたケルト人はどこへ消えたのか。巨石文化からアーサー王の伝説、現代の「ケルト復興」まで、フランス、ブルターニュの歴史・信仰・言語を軸に、アイルランド中心の「ケルト・ブーム」を問い直す。

■異色の、そして初めての本格的「ケルトの歴史」!
ストーンヘンジに代表される巨石文化、渦巻きや植物の華麗な装飾文様、妖精や小人などの伝説…「もうひとつのヨーロッパの起源」として、近年注目されている「ケルト文化」。EUなど欧州統合のアイデンティティとして、また近代西欧文明への批判として復興の気運をみせている「ケルト」の実像は、いったいどこまで明らかになっているのでしょうか。

■「ケルトといえば、アイルランド!」……本当にそうなのでしょうか?
ケルト文化に関心を持つ多くの人々が訪れるのが、アイルランドです。大陸からブリテン諸島へ移住した古代ケルト人は、ローマ人やキリスト教徒に追われてアイルランド島にのみしぶとく生き残った――と思われているからですが、最近の研究では、この「常識」が否定されつつあります。本書では、言語学からみた「ケルト文化圏」と、歴史学からみた「ケルト人」の奇妙な関係を明らかにします。

■なぜ近代に「ケルト」は復興したのか? フリーメーソン、ナチスとの関係とは?
土着の文化は、ローマ文明やキリスト教とどのように融合し、広がっていったのでしょうか。言葉や文字は、そして文化は、いかに変容し、伝わるのでしょうか。ナショナリズムの興隆とともに語られる「民族起源としてのケルト」とは――。フランス、ブルターニュ地方の異教的な習俗や伝説の検証から、ヨーロッパの基層への旅が始まります。


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目次

第1章 「異教徒の地」の信仰
第2章 巨石文化のヨーロッパ
第3章 古代ケルト人
第4章 ローマのガリア征服
第5章 ブリタニア島とアルモリカ半島
第6章 ヒベルニアと北方の民
第7章 ノルマン王朝とアーサー王伝説
第8章 ケルト文化の地下水脈
第9章 ケルトの再生

書誌情報

紙版

発売日

2007年07月19日

ISBN

9784062807074

判型

四六変型

価格

定価:2,530円(本体2,300円)

ページ数

390ページ

シリーズ

興亡の世界史

著者紹介