
不謹慎な経済学
フキンシンナケイザイガク
- 著: 田中 秀臣
常識のウソを暴き、「正しい暴論」で世の問題を解き明かす
新しい経済学の誕生!
「パリス・ヒルトンは刑務所に入って得をした」
「最低賃金を引き上げると、失業も雇用も悪化する」
「官僚の天下りは、本当は正しい」
「オリンピックやサッカーワールドカップが終わると、開催国は不況になる」
……などなど、ちょっと聞くと「ウソでしょ?」と問い返したくなる言葉の数々。
しかし、これらはどれも、気鋭のリフレ派経済学者として活躍する著者が、まっとうな経済学
の教えに基づいて考察した「正しい暴論」なのだ。決してただの逆説ではない。
経済格差やニート問題、萌え文化、国際的なテロの横行、愛とセックスとエクスタシー、
それに日本銀行の迷走ぶり……と、さまざまな出来事や事象を材料に、世界の常識とされて
いることを、著者は「不謹慎」に次々と覆していく。
その根本にあるのは、「お金がすべてではない世界や、アンチ弱肉強食の世界を創るために
こそ、経済学は存在する」という信念だ。
そうやって著者の博識とユーモアと毒を楽しみつつ、経済や社会のカラクリを鮮やかに理解
できる一冊である。
●著者からのメッセージ
経済学と聞くと、人は「お金ですべての問題が解決できるとする考え方」とか「社会を弱肉
強食化させようとする考え方」というイメージを持つかもしれない。しかし、僕が考える正しい
経済学は、それとは正反対のものだ。経済学は、過度の競争が行われない社会や、弱肉
強食化しない社会のあり方を考えるためにある。あるいは、「お金ですべての問題が解決
できるわけではない」ことを学ぶためにこそ、経済学の存在意義がある。
それを説明するため、一見、経済とは関係なさそうな話題を取り上げたり、世間で常識とされ
ていることをひっくり返すような逆説(?)を掲げたりしながら、話を進めてみたい。そう考えて書
いたのが本書である。
- 前巻
- 次巻
目次
はじめに 「お金がすべてではない世界」を創るために
第1章 パリス・ヒルトンが刑務所で得たもの
第2章 人間関係が希薄化したのは、みんなが望んだからだ
第3章 オーラルセックスとエクスタシーの経済学
第4章 社会保障はテロリストのおかげで生まれた
第5章 官僚の天下り、本当は正しい!
第6章 ニートもハケンも、役人の利権を生むだけだ
第7章 経済の安定は攻撃的ナショナリズムを和らげる
第8章 ボランティアを義務化すると、経済格差が拡大する
第9章 最低賃金を引き上げると、失業も雇用も悪化する
第10章 ノーベル賞受賞者は、なぜ人種差別主義者と呼ばれたのか
第11章 アルファブロガーはラーメン屋に行列する人と同じ
第12章 リークと無責任の海に沈んでいくトンデモ中央銀行
第13章 クーデターが戦前の日本をデフレ地獄に突き落とした
第14章 「主権在米経済」が失われた10年に幕を下ろした
第15章 W杯や五輪が終わると、開催国は不況になる
第16章 世界最大の債務国アメリカの経済はいつ崩壊するのか
おわりに エコノミストは横並びがお好き
書誌情報
紙版
発売日
2008年02月22日
ISBN
9784062820813
判型
四六
価格
定価:1,430円(本体1,300円)
ページ数
238ページ
著者紹介
(たなか・ひでとみ) 1961年生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科単位取得退学。現在、上武大学ビジネス 情報学部准教授。 専門は経済思想史・日本経済論。「リフレ派」経済学者の代表的な論客として、各メディアで 積極的な発言を続けている。サブカルチャーにも造詣が深い。 著書に『経済論戦の読み方』(講談社現代新書)、『エコノミスト・ミシュラン』(共著、太田 出版)、『ベン・バーナンキ 世界経済の新皇帝』(講談社)、『経済政策を歴史に学ぶ』(ソフ トバンク新書)などがある。 『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社)で第47回日経・経済図書文化賞受賞。