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岬のマヨイガ
ミサキノマヨイガ
第54回野間児童文芸賞受賞作品。2021年夏、劇場版アニメ公開!
あの日、両親を亡くした萌花は親戚にひきとられるために、そして、ゆりえは暴力をふるう夫から逃れるために、狐崎の駅に降り立った。彼女たちの運命を変えたのは大震災、そして巨大な津波だった。命は助かったが、避難先で身元を問われて困惑するふたり。救いの手をさしのべたのは、山名キワという老婆だった。その日から、ゆりえは「結(ゆい)」として、萌花は「ひより」として、キワと女三人、不思議な共同生活が始まった――。
『霧のむこうのふしぎな町』の柏葉幸子、デビュー40周年記念作品。
岩手県出身、盛岡市在住の柏葉幸子氏が、ついに東日本大震災をモチーフに筆を執った! 児童文学の大家が描く、日常ファンタジーの意欲作
あの、おそろしい地震のあった日、萌花ちゃんは、会ったこともない親戚にひきとられるために狐崎の駅を降りました。そして、たまたま同じ電車に乗ったゆりえさんは、自分の境遇と似た萌花ちゃんから目が離せず、いっしょに駅を降りてしまいました。ゆりえさんは、暴力をふるう夫から逃れるために、あてもないまま東京から見ず知らずの北の地へと向かっていたのでした。
そんなふたりの運命を変えたのは、狐崎のまちを呑み込んだ巨大な津波でした。
中学校の体育館に避難したふたりは、身元を問われて困惑します。だって、帰れる家、帰りたい家はないのです。手をにぎり合うふたりに救いの手をさしのべたのは、山名キワさんという、小さなおばあさんでした。
その日から、ゆりえさんは結(ゆい)さんとして、萌花ちゃんはひよりちゃんとして、キワさんと、世代の違う女性三人の、不思議な共同生活が始まったのです――。
遠野物語を彷彿とさせる東北の民話が随所に挟み込まれるほか、河童や狛犬といった異世界の住人たちが数多く登場する日常ファンタジー。
ⒸSachiko Kashiwaba
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目次
1 三人の避難所
2 新しい名前と古い家
3 おばあちゃんの昔話
4 三つ窯稲荷
5 不思議なお客様
6 動きだした怖いもの
7 お神楽を見た夜
8 アガメと海ヘビ
9 誰にでもある思い
10 不思議な見張り
11 おばあちゃんの故郷
12 本物のマヨイガ
13 遠野の不思議な人たち
14 帰ってきた人たち
15 赤く光る目
16 海ヘビの思惑
17 海ヘビの正体
書誌情報
紙版
発売日
2015年09月11日
ISBN
9784062832359
判型
A5
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
274ページ
シリーズ
文学の扉
電子版
発売日
2016年01月22日
JDCN
0628323500100011000B
初出
この作品は、岩手日報の「日報ジュニアウイークリー」2014年5月10日~2015年7月4日付紙面に掲載された連載小説に加筆・修正したものです。
著者紹介
1953年、岩手県生まれ。東北薬科大学卒業。『霧のむこうのふしぎな町』(講談社)で第15回講談社児童文学新人賞、第9回日本児童文学者協会新人賞を受賞。『ミラクル・ファミリー』(講談社)で第45回産経児童出版文化賞を受賞。『牡丹さんの不思議な毎日』(あかね書房)で第54回産経児童出版文化賞を受賞。『つづきの図書館』(講談社)で第59回小学館児童出版文化賞を受賞。近著に『竜が呼んだ娘』(朝日学生新聞社)、『モンスター・ホテルでひみつのへや』(小峰書店)など。
1981年、青森県十和田市生まれ。岩手大学教育学部特別教科(美術・工芸)教員養成課程で染織を学ぶ。グラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動。現在、盛岡市在住。
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関連シリーズ
製品関連情報
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受賞作
『岬のマヨイガ』…第54回野間児童文芸賞受賞 (2016.11.8)
受賞日:2016.11.08