とうちゃんとユーレイババちゃん

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とうちゃんとユーレイババちゃん

トウチャントユーレイババチャン

ぼくは六年生。「とうちゃん」とお母さんと三人暮らし。でももう一人、なぜかぼくにしか見えない、ユーレイのババちゃんもいっしょだ。ぼくが四年生だった冬の朝、ババちゃんはベッドの中で冷たくなっていた。そしてその日から、ババちゃんはユーレイになったのだ--。複雑な家庭環境にある小6の男の子をとりまく、ちょっと不思議で、ちょっとせつない日々が、ユーモアいっぱいに描かれます。小学校高学年から楽しく読める一冊。


 「第18回ちゅうでん児童文学賞」大賞受賞作品です。(選考委員:斉藤洋、富安陽子、鷲田清一)
 複雑な家庭環境にある小6の男の子をとりまく、ちょっと不思議で、ちょっとせつないこともある日々が、ユーモアいっぱいに描かれています。
 小学校高学年から、楽しく読める一冊です。

●あらすじ

 ぼくは六年生。「とうちゃん」とお母さんと三人暮らし。でももう一人、なぜかぼくにしか見えない、ユーレイのババちゃんもいっしょだ。ぼくが四年生だった冬の寒い朝、ババちゃんはベッドの中で冷たくなっていた。六十五歳だった。そしてその日から、ババちゃんはユーレイになったのだ。
 なぜ成仏できないのかは、ババちゃんにもわからないらしい。「心残りが多すぎるからかね。」そう言って、ババちゃんはガハハと笑う。ババちゃんの心残りは、たぶん家族のこと……。
 お母さんは、十八歳でシングルマザーになり、ぼくを産んだ。とうちゃんは、ぼくの父親ではない。お母さんの十歳年上のお兄さんだ。つまりぼくの伯父さんだ。名前が透也だから「とうちゃん」。ほれっぽいけど、恋愛には奥手の四十男だ。
 ぼくは父親を知らない。でも、さびしいと思ったことはない。とうちゃんがずっとぼくの父親代わりだったから。楽天的で子どもっぽくて、おまけに下ネタ好きのしょうもないとうちゃんだけど、ぼくはとうちゃんが大好きなのだ。もちろん、そんなことは口に出しては言えない、てれくさくて。
 そんなとうちゃんが恋をした相手は、ぼくの同級生、鈴木健龍の母親だった。健龍にも父親がいない。六年の春に転校してきた無口な健龍とは、ほとんど話もしたことがなかったぼくだけど、いつしかお互いを親友と認める仲になっていく。そして健龍の母親へのとうちゃんの恋心は、周囲の予想通りに、言い出す間もなく砕け散る。
 複雑な家庭環境ながらも、ぼくは毎日をおもしろおかしく過ごしていたのだ。「結婚してもいい? おなかに赤ちゃんがいるの。」と、お母さんが突然言い出すまでは……。


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目次

1 ちょっと変わったぼくの家
2 恋
3 ぼくと健龍
4 はじまりの観覧車
5 とうちゃんのサイレントナイト
6 小学六年のバレンタイン
7 お母さんの爆弾発言
8 ぼくたちの「はじまり」
9 僕、とうちゃん、そしてババちゃん

書誌情報

紙版

発売日

2017年02月02日

ISBN

9784062832427

判型

四六

価格

定価:1,540円(本体1,400円)

ページ数

202ページ

シリーズ

文学の扉

電子版

発売日

2017年11月10日

JDCN

0628324200100011000S

初出

本作品は、第18回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作品です。(「とうちゃんと僕、そしてユーレイババちゃん」を改題しました)

著者紹介

作: 藤澤 ともち(フジサワ トモチ)

横浜市生まれ。東京学芸大学教育学部美術科卒。1988年、「モーニング」(講談社)第18回ちばてつや賞一般部門に入選。以来、「ともち」というペンネームで漫画家として活動する。本作品で、第18回ちゅうでん児童文学賞大賞を受賞(受賞時タイトルは「とうちゃんと僕、そしてユーレイババちゃん」)。小説作品としては、本書がデビュー作となる。

絵: 佐藤 真紀子(サトウ マキコ)

東京都生まれ。挿画や装画を担当した作品に、「バッテリー」シリーズ(教育画劇、KADOKAWA)、『クリオネのしっぽ』『すし食いねえ』『レイさんといた夏』『ぼくたちのリアル』(すべて講談社)、『チャーシューの月』『ぼくらは鉄道に乗って』(小峰書店)、『先生、しゅくだいわすれました』(童心社)など多数。

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