村のエトランジェ

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電子あり

村のエトランジェ

ムラノエトランジェ

講談社文芸文庫

小さな村に疎開してきた美しい姉妹。ひとりの男をめぐり彼女らの間に起こった恋の波紋と水難事件を、端正な都会的感覚の文章で綴った表題作ほか、空襲下、かつての恋人の姿をキャンバスに写すことで、命をすりへらしていく画家との交流をたどる「白い機影」など、初期作品8篇を収録。静かな明るさの中に悲哀がただよい、日常の陰影をさりげないユーモアで包む、詩情豊かな独自の世界。「小沼文学」への導きの1冊。


都会的感覚で描かれた戦時下の心象風景

小さな村に疎開してきた美しい姉妹。ひとりの男をめぐり彼女らの間に起こった恋の波紋と水難事件を、端正な都会的感覚の文章で綴った表題作ほか、空襲下、かつての恋人の姿をキャンバスに写すことで、命をすりへらしていく画家との交流をたどる「白い機影」など、初期作品8篇を収録。静かな明るさの中に悲哀がただよい、日常の陰影をさりげないユーモアで包む、詩情豊かな独自の世界。「小沼文学」への導きの1冊。

長谷川郁夫
パリサイ人・ニコデモは、いわば善意の傍観者として描かれていた。と記せば、新約聖書ヨハネ伝中のこの人物に小沼さんが興味を惹かれた理由は明らかだろう。父親とも、キリスト教とも、戦争とも等間隔の距離を置く傍観者としての立場を病める文学志向者は選択した、いや選択せざるを得なかったのだ。(中略)傍観者であることの苦痛は、憂鬱と倦怠、ニヒリズムの暗い気分となって、「村のエトランジェ」1冊に一刷毛の翳りを残している。――<「解説」より>


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目次

紅い花
汽船
バルセロナの書盗
白い機影
登仙譚
白孔雀のいるホテル
ニコデモ
村のエトランジェ

書誌情報

紙版

発売日

2009年07月11日

ISBN

9784062900546

判型

A6

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

304ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

電子版

発売日

2014年03月28日

JDCN

0629005400100011000T

初出

小沢書店刊「小沼丹作品集1」(1979年12月)を底本とし、新漢字・新かな遣いに改め、多少ふりがなを加えた。作品の配列については、みすず書房刊「村のエトランジェ」(1954年11月)に拠った。本文中明らかな誤植と思われる箇所は正したが、原則として底本に従った。

収録作品

  • 作品名

    紅い花

    初出

    『文学界』1954年10月

  • 作品名

    汽船-ミス・ダニエルの追想

    初出

    『文芸』1954年6月

  • 作品名

    バルセロナの書盗

    初出

    『文学行動』1949年4月

  • 作品名

    白い機影

    初出

    『群像』1954年10月

  • 作品名

    登仙譚

    初出

    『人物往来』1952年1月

  • 作品名

    白孔雀のいるホテル

    初出

    『文芸』1954年10月

  • 作品名

    ニコデモ

    初出

    『新文明』1952年4月

  • 作品名

    村のエトランジェ

    初出

    『文芸』1954年1月

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