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われらにとって美は存在するか
ワレラニトッテビハソンザイスルカ

第三の新人と伴走した悲劇の批評家の精選評論集
「第三の新人」が文壇に登場し、注目を浴びていた時、彼らと歩を合わせるかのように、ひとりの新しき批評家が誕生する。それまでのマルクス主義的批評でもなく、また作家の生理によりかかる作家論的アプローチでもなく、作品それ自体の内部に<美>を見出す審美的批評を提唱し、その原理を探究する途に赴くも、中絶。新世代批評家として嘱望されながらも、33歳で自死した服部達の代表的作品を精選。
勝又浩
33歳の彼が、自分の32歳のときの文章を指して「若気の至り」だと言っている。思うに、この頃、文芸評論を書き始めた服部達はこんなふうに、まるで竹の子が育つように急成長していたのだ。竹は芽の出たその年の内に一生分の成長を果たしてしまうが、彼のあまりにも早すぎた死を思うとき、私はそんなイメージを思い浮かべずにはいられない。批評家としての服部達は、そんな軌跡を見せている。ずば抜けた秀才の悲劇ではなかったろうか。――<「解説」より>
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書誌情報
紙版
発売日
2010年09月12日
ISBN
9784062900980
判型
A6
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
352ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
各作品の末尾に示した初出誌を底本とし、必要に応じて、審美社版「われらにとって美は存在するか」(1968年9月刊)を参照した。
収録作品
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作品名初出
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作品名
われらにとって美は存在するか
初出
『群像』1955年6月~9月
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作品名
批評の新しい針路
初出
『三田文学』1955年3月
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作品名
新世代の作家たち
初出
『近代文学』1954年1月
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作品名
劣等性・小不具者・そして市民
初出
『文学界』1955年9月
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作品名
「近代文学」的公式の崩壊
初出
『文学界』1955年12月
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作品名
堀田善衛論
初出
『文学界』1954年3月
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作品名
大岡昇平論
初出
『近代文学』1954年12月
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作品名
伊藤整論
初出
『現代評論』2号、1954年12月
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作品名
ロバート・シューマン論
初出
『三田文学』1956年1月
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作品名
最後の日記
初出
『知性』1956年3月