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錨のない船 下
イカリノナイフネ
- 著: 加賀 乙彦

外交官来島平三郎とアメリカ出身のアリスの長男である健は母の容貌をより濃く受け継いだがゆえ、日本陸軍飛行兵として戦争に深く関わっていくことを自ら選んでいた。日本の敗色濃厚な1945年春、来島健は戦闘機疾風を操り米軍のB29を撃墜するも、結局無惨な死を迎える。敗戦。息子に先立たれた平三郎は、戦犯の疑いをかけられ――歴史に翻弄された一家の運命を描く歴史長篇完結。
大きな戦争が、男も女も激流に巻き込み、突き進む。感動の歴史長篇完結!
人々は竹槍を構えた。1人が健の左胸をぐいと突いた。鋭い槍先が肉を貫き体の芯へと抜けていく。2番目の老人は首をぐさり突き刺した。何ごとがおこったのか。これはどういうことだ、健は、3番目の竹槍を受ける前に、「違ウ、違ウ、ボクハ日本人ダ」と叫んだが、それは首の傷口から笛のように漏れただけであった。
外交官来島平三郎とアメリカ出身のアリスの長男である健は母の容貌をより濃く受け継いだがゆえ、日本陸軍飛行兵として戦争に深く関わっていくことを自ら選んでいた。日本の敗色濃厚な1945年春、来島健は戦闘機疾風を操り米軍のB29を撃墜するも、結局無惨な死を迎える。敗戦。息子に先立たれた平三郎は、戦犯の疑いをかけられ――歴史に翻弄された一家の運命を描く歴史長篇の新装版完結。
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書誌情報
紙版
発売日
2010年11月11日
ISBN
9784062901024
判型
A6
価格
定価:1,980円(本体1,800円)
ページ数
544ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
電子版
発売日
2014年05月09日
JDCN
0629010200100011000L
初出
「錨のない船」下巻(1982年4月、講談社刊)を底本として使用し、講談社文芸文庫版中巻・下巻(1988年2月刊)を適宜参照した。