聖ヨハネ病院にて・大懺悔

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聖ヨハネ病院にて・大懺悔

セイヨハネビョウインニテダイザンゲ

講談社文芸文庫

半身不随の病苦の中で一字一字刻みつけた魂の言葉。「私小説」の佳品10篇

文学への純粋な情熱を胸底に78年の生涯を私小説一筋に生きた上林暁。脳溢血で半身不随、言語障害を患った晩年も、左手と口述で一字一句、彫心鏤骨の作品を生みつづけた。川端康成に賞賛された出世作「薔薇盗人」、心を病む妻を看取った痛切な体験を曇りない目で描く「聖ヨハネ病院にて」、生と死のあわいを辿る幻想譚「白い屋形船」(読売文学賞)等、人生の苦悩の底から清冽な魂の言葉を響かせる珠玉短篇集。

富岡幸一郎
作家の「眼の誠実」と川端がいったのは、上林暁が、描かれる対象にたいするいたわりを内に含み、そのことにおいて人がそこで生きている真実の姿を浮き彫りにしている点であろう。(略)上林暁の「私小説」はつねに他者を包含し許容することで、また自然をはじめとする森羅万象を受け容れる姿勢を保つことで、描くべき存在に生命の息吹を注入し活力を回復させるのである。――<「解説」より>


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書誌情報

紙版

発売日

2010年11月11日

ISBN

9784062901048

判型

A6

価格

定価:1,980円(本体1,800円)

ページ数

288ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

初出

増補決定版「上林暁全集」第1・第3・第5・第9・第10・第12・第13巻(2000年~2001年 筑摩書房刊)を底本として使用した。本文の旧漢字、旧かな遣いは、原則として新漢字、新かな遣いに改め、明らかな誤記誤植と思われる箇所は正し、振りがなを多少加えるなどしたが、原則として底本に従った。

収録作品

  • 作品名

    薔薇盗人

    初出

    『新潮』1932年8月号、「薔薇盗人」(1933年 金星堂刊)

  • 作品名

    初出

    『文藝』1940年1月号、「野」(1940年 河出書房)

  • 作品名

    聖ヨハネ病院にて

    初出

    『人間』1946年5月号、「晩春日記」(1946年 桜井書店)

  • 作品名

    姫鏡台

    初出

    『群像』1951年4月号、「姫鏡台」(1953年 池田書店)

  • 作品名

    柳の葉よりも小さな町

    初出

    『別冊文藝春秋』29号(1952年8月)同上

  • 作品名

    大懺悔

    初出

    『改造』1953年8月号「過ぎゆきの歌」(1957年 講談社)

  • 作品名

    美人画幻想

    初出

    『新潮』(1959年11月号)「迷ひ子札」(1961年 筑摩書房)

  • 作品名

    白い屋形船

    初出

    『新潮』(1963年8月号)「白い屋形船」(1964年 講談社)

  • 作品名

    上野桜木町

    初出

    『文藝』(1972年7月号)「ばあやん」(1973年 講談社)

  • 作品名

    ブロンズの首

    初出

    『群像』(1973年4月号)同上

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