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読書清遊 富士川英郎随筆選
ドクショセイユウフジカワヒデオズイヒツセンタカハシヒデオヘン

詩を愛し本に遊ぶ最後の文人学者 富士川英郎の高雅な世界
独文学者が五十代半ば過ぎて著した『江戸後期の詩人たち』。日本に漢詩人ありと知らしめ、読書界を驚倒させた著者が、以後堰を切って上梓した文学随想から二九篇と詩三篇を精選。リルケ、ゲーテらドイツの詩人、菅茶山始め江戸漢詩人と並び、幼い頃、市電で乗り合わせた「神采奕々」の老紳士森鴎外を追想する「父富士川游のこと」、愛してやまぬ萩原朔太郎を語る「郷愁の詩人」など、“最後の文人学者”富士川の悠々闊達な世界。
高橋英夫
文人の拠って立つ詩、詩文と、学者の拠りどころ学問とは、近くもあるが隔り、ずれもある。次元が違うともいえよう。ところが僅かな幾刻か、微妙なタイミングによってなのか、詩文と学問とが重なり合うことがときどきある。ただ、重なりによって濁りは生ぜず、結ぼれがほどけたような晴れ晴れとした気圏がそこに拡がる。そういう気圏を感知し、その気圏の中に立ちつくす人、それが文人学者であろう。――<「解説」より>
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書誌情報
紙版
発売日
2011年06月11日
ISBN
9784062901246
判型
A6
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
288ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
それぞれの初刊本を底本とした文末に初出を掲出した。本文は新漢字新かな遣いで表記したが、引用部分のかな遣いは底本のままとした。明らかな誤記誤植は訂正し振りがなを適宜増減したが、原則として底本に従った。
収録作品
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作品名初出
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作品名
はじめに 父富士川游のこと
初出
『書物展望』1942年11月
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作品名
はじめに 西片町九番地
初出
『中央公論』1975年7月
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作品名
漢詩人と儒者 江戸漢詩文とわたし
初出
『玉川学園学術教育研究所所報』1985年12月
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作品名
漢詩人と儒者 中秋の月の詩
初出
『ちくま』1974年10月
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作品名
漢詩人と儒者 菅茶山と絵島
初出
『読売新聞』1979年7月12日
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作品名
漢詩人と儒者 化政期の江戸
初出
『海』1979年9月
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作品名
漢詩人と儒者 花影満簾春昼永
初出
『海』1980年2月
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作品名
漢詩人と儒者 夢の詩
初出
『海』1979年12月
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作品名
近代の文人と詩人 「伊沢蘭軒」のこと
初出
『文芸』1962年8月
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作品名
近代の文人と詩人 森鴎外「委蛇録」
初出
『同時代』1984年3月
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作品名
近代の文人と詩人 夏目漱石の手紙
初出
『本の手帖』12 1975年1月
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作品名
近代の文人と詩人 木下杢太郎の随筆
初出
『海燕』1984年3月
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作品名
近代の文人と詩人 郷愁の詩人
初出
『季節』1957年4月
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作品名
近代の文人と詩人 「猫町」をめぐって
初出
『Poetica』1991年9月、10月
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作品名
ドイツの詩と詩人 ヴァイマルの蝶
初出
弥生書房版『リルケ全集』月報13 1965年2月
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作品名
ドイツの詩と詩人 ホーフマンスタールと木下杢太郎
初出
『読売新聞』夕刊 1974年8月12日
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作品名
ドイツの詩と詩人 堀辰雄とドイツ文学
初出
『海燕』1983年2月
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作品名
ドイツの詩と詩人 茅野蕭々の訳詩
初出
『海』1982年3月
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作品名
ドイツの詩と詩人 インゼル袖珍文庫
初出
『ももんが』1986年12月
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作品名
さまざまな詩話 蛙の詩
初出
『比較文学研究』1975年11月
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作品名
さまざまな詩話 蝶の詩
初出
『比較文学研究』1978年12月
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作品名
さまざまな詩話 雀
初出
『Poetica』1992年7月、8月
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作品名
さまざまな詩話 時計
初出
『Poetica』1992年9月、10月
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作品名
さまざまな詩話 夏の歌
初出
『短歌』1981年7月
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作品名
自伝から 私の東京
初出
『文化会議』1986年10月
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作品名
自伝から 少年時代の鎌倉
初出
『かまくら春秋』1988年12月
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作品名
自伝から 高校時代の読書
初出
『らてるね』1988年秋季号
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作品名
自伝から 思出の記(抄)
初出
22~25 私家版 『続・思出の記』1991年10月、26~31 私家版 『続々・思出の記』1993年7月
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作品名
詩三篇 砂まくら
初出
私家版『わが詩』1994年12月
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作品名
詩三篇 相会はずして過ぎし日の
初出
私家版『わが詩』1994年12月
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作品名
詩三篇 萩原朔太郎
初出
私家版『わが詩』1994年12月
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作品名
むすび 夕陽無限好
初出
『東京新聞』夕刊 1986年4月3日