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カントの時間論
カントノジカンロン
- 著: 中島 義道

西洋哲学を通じて時間に関する思索は二つの異なった道をたどってきた。一つはアリストテレスに典型であるように、時間を外的物体の運動との連関で思索する道であり、もう一つはアウグスチヌスに典型であるように、時間を記憶や予期や知覚などの「こころ」のあり方との連関で思索する道である。カントの時間論にはこの二つの道が豊かに流れ込んでいる。客観的時間が「心」のあり方を決める時間であること、それをカントはめざした。
時間に関するすべての現象を取り込み、細部まで誠実に検討を重ねること。カントが「時間」探求において頑なに保持したのはこの姿勢であった。物体の運動を可能にする客観的時間が自我のあり方を決める時間であることをいかに精確に記述することができるのか。『純粋理性批判』全体に浸透している時間構成に関するカントの深い思索を読み解く。
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目次
序章・問題の提起/第一章・時間を構成する作用としての「われ思う」/第二章・時間の経験的実在性(1)/第三章・時間の経験的実在性(2)/第四章・時間の超越論的観念性
書誌情報
紙版
発売日
2016年04月12日
ISBN
9784062923620
判型
A6
価格
定価:1,012円(本体920円)
通巻番号
2362
ページ数
264ページ
シリーズ
講談社学術文庫
電子版
発売日
2016年04月28日
JDCN
0629236200100011000A
初出
本書の原本は、岩波現代文庫『カントの時間論』として、2001年に岩波書店より刊行されました。
著者紹介
1946年生まれ。ウィーン大学で哲学博士号取得。「哲学塾カント」主宰。