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ふくろう
フクロウ
- 著: 梶 よう子

将軍世嗣の住まいである西丸の書院番に引き立てられ心浮き立つ伴鍋次郎だが、両親は喜ぶどころか狼狽し、不安すら覗かせる。
町で会った老武士には、初対面にもかかわらず「許してくれ」と土下座される始末。
しばらくして、同じ老武士にこんどは橋の上で遭遇する。酔いつぶれかけていた老人は、鍋次郎の姿を認めるや否や何事かを叫んで橋から飛び降りてしまう。老人の名が「神尾五郎」ということまではわかるが、不審は募るばかり。
そんな矢先、家で書物の整理をしていると、「鍋次郎」と記された自分の名前の位牌と、父の昔の日記を見つける。
日記には、鍋次郎が生まれたころの記述だけが欠落していた。自分は養子だったのだ。ほかにも自分の出生に関して何か秘密があるにちがいない。意を決した鍋次郎は、義父の高萩惣吾のもとを訪ねる。
疑念をぶつけた鍋次郎に、惣吾は鍋次郎の本当の父親「松平外記」の名を告げる。外記は惣吾の親友だったという。
惣吾の口から、松平外記の時を超えた悲しい物語が始まった。傑作長編時代小説。
Ⓒyouko kaji
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目次
一 老武士
二 昌平橋
三 位牌
四 心患い
五 鯉の根付
六 三分の花見
七 拍子木役
八 追鳥狩り
九 虎の間
十 ふくろう
書誌情報
紙版
発売日
2015年11月13日
ISBN
9784062932394
判型
A6
価格
定価:748円(本体680円)
ページ数
336ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2015年12月11日
JDCN
0629323900100011000Q
初出
本書は2012年6月、小社より単行本として刊行されたものです。
著者紹介
東京都生まれ。2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞大賞を受賞。’08年『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し単行本デビュー。著書には『迷子石』『いろあわせ―摺師安次郎人情暦』『夢の花、咲く』『宝の山―商い同心お調べ帖』『桃のひこばえ―御薬園同心・水上草介』『ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖』『連鶴』などがある。