
いまを生きるちから
イツキヒロユキノベリスクイマヲイキルチカラ
- 著: 五木寛之
年間の自殺者が3万人にも及ぶ今日の日本。著者はそれを、命の重さが失われカラカラに乾ききった社会のせいだと捉える。では、その渇きを潤す「水」にあたるものは何か。それは、喜びや希望や生きがいといった前向きのメッセージだけでなく、無言で相手の痛みを感じ深いため息をつく「悲」の感情ではないかと説く。長年抱き続けてきた自然への考え方、神や仏への感受性など、「日本人の持っているちから」に希望を見出した名著。
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目次
第一章 日本人の忘れもの
こころの戦争
いのちの軽い時代
湿式から乾式へ
他
第二章 悲しむことで耐えるこころ
悲しみのさなかでうたった歌
悲しんでいる人には悲しい歌を
〈悲泣せよ〉といった親鸞
他
第三章 励ましから慰めへ
泣かなくなった日本人
〈慈〉の精神
励ましの〈慈〉と慰めの〈悲〉
他
第四章 日本人の宗教感覚
日本に根ざす信仰心
見えざる大きなものへの畏怖
「私は何者なのか」
他
第五章 不安と混乱の先に
現代人は不安の時代を生きている
不安は新しい希望への母
不安はちからなり、友として生きていく
宗教と民族の共存していく時代
他
第六章 「隠れ」と「逃散」
隠れ念仏の里
命がけで守った信仰
知られざる庶民の歴史
名もなき人びとのひそかな抵抗
他
第七章 都市に生きる信仰心
「御堂筋」の由来
宗教都市、大阪
「寺内町」から「城下町」へ
他
第八章 「お陰さま」と「ご縁」
「儲かりまっか」「お陰さんで」
すべてのいのちを尊ぶこころの豊かさを
人間中心主義から生命中心主義へ
「縁なき衆生」こそ大事
他
第九章 抒情と感傷の意味
「感傷的」ではいけないのか
小野十三郎さんの思い出
他
第十章 青い鳥のゆくえ
「青い鳥」は幸福の象徴なのか?
『青い鳥』の意外な結末
メーテルリンクが差し出す大きな謎
つかむことができなかった「坂の上の雲」
他
第十一章 寛容と共生の世紀へ
信仰が混在した日本人の宗教生活習慣
「シンクレティズム」の可能性
「アニミズム」には二十一世紀の新しい思想の可能性が
他
【スペシャル・インタビュー】
ぜいたくは「生きること」の中にこそある
思わず「ありがたい」とつぶやくとき
聖地でエネルギーを感じる喜び
正しい呼吸をしたときの爽快感
他
書誌情報
電子版
発売日
2013年08月23日
JDCN
0642134300100011000G