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おるもすと
オルモスト
- 著: 吉田 篤弘

もうほとんど何もかも終えてしまったんじゃないかと僕は思う。僕は「こうもり」と呼ばれ、崖っぷちの家にひとりで暮らしながら、石炭を選り分ける仕事をしている。ある日、公園のベンチで居合わせた体格のいい男のひとに英語で話しかけられた。長い話の最後に、彼はひと言「おるもすと」と云った――。世田谷文学館開館20周年記念企画として限定販売され完売した幻の作品に、書き下ろしエッセイを加えた特別版!
もうほとんど何もかも終えてしまったんじゃないかと僕は思う。間違っていたらごめんなさい。
僕は「こうもり」と呼ばれ、崖っぷちの家にひとりで暮らしながら、石炭を選り分ける仕事をしている。高級な石炭である〈貴婦人〉を見つけ出す天才だった祖父が亡くなり、家と仕事を引き継いだのだ。机と電話機しか置いていない〈でぶのパン屋〉の固いパンを、毎日食べるようになったある日、公園のベンチで居合わせた体格のいい男のひとに英語で話しかけられた。が、意味はさっぱり理解できない。長い話の最後に、彼はひと言「おるもすと」と云った。
世田谷文学館開館20周年記念企画として限定販売され完売した幻の作品に、書き下ろしエッセイを加えた特別版!
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目次
おるもすと
「おるもすと」の話のつづき
話のつづきの、そのまたつづき
あとがき
書誌情報
紙版
発売日
2018年09月21日
ISBN
9784065130346
判型
四六変型
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
114ページ
初出
本書は『おるもすと』(世田谷文学館刊)に書き下ろしを加えて編集し直したものです。
著者紹介
吉田篤弘(よしだ・あつひろ) 1962年東京生まれ。作家。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作とデザインの仕事を続けている。著書に『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナ・リザの背中』『ソラシド』『台所のラジオ』『遠くの街に犬の吠える』『京都で考えた』『金曜日の本』『神様のいる街』など多数。