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超高層のバベル 見田宗介対話集
チョウコウソウノバベルミタムネスケタイワシュウ
- 著: 見田 宗介

『現代日本の精神構造』(1965年)や『近代日本の心情の歴史』(1967年)で日本と日本人がたどってきた道行きを具体的な事象を使って鮮やかに分析した社会学者は、人々を震撼させた連続射殺事件の犯人を扱う「まなざしの地獄」(1973年)でさらなる衝撃を与えた。その名を、見田宗介(1937年生)という。
続くメキシコ滞在を機に、さらなる飛躍を遂げた社会学者は、「真木悠介」の名を使ってエポックメイキングな著作『気流の鳴る音』(1977年)を完成させる。ここで形を得た人間観と、そこから導かれるコミューンへの憧憬は、独自の理論に結晶していき、数多くの信奉者と、数多くの優れた弟子を生み出した。その成果は、『時間の比較社会学』(1981年)や『自我の起原』(1993年)といった真木悠介名義による労作を経て、ついに『現代社会の理論』(1996年)に到達する。現代の世界に向けられた冷徹と愛情の共存するまなざしは、最新の社会現象についても常に鋭利な分析をもたらし、今なお他の追随を許すことがない。
その思想が、かけがえのない「他者」たちとの対話を源泉にして生まれてきたこともまた間違いのない事実である。対談や座談会は収録の対象としなかった『定本 見田宗介著作集』(全10巻、2011-12年)と『定本 真木悠介著作集』(全4巻、2012-13年)を補完するべく精選された、珠玉の11篇。現代日本社会学の頂点に君臨する著者が望んだ初の対話集がついに完成した。
[本書収録の対話]
河合隼雄 超高層のバベル
大岡昇平 戦後日本を振り返る
吉本隆明 根柢を問い続ける存在
石牟礼道子 前の世の眼。この生の海。
廣松 渉 現代社会の存立構造
黒井千次 日常の中の熱狂とニヒル
山田太一 母子関係と日本社会
三浦 展 若い世代の精神変容
藤原帰一 二一世紀世界の構図
津島佑子 人間はどこへゆくのか
加藤典洋 現代社会論/比較社会学を再照射する
交響空間――あとがきに(見田宗介)
ⒸMunesuke Mita
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目次
河合隼雄 超高層のバベル
大岡昇平 戦後日本を振り返る
吉本隆明 根柢を問い続ける存在
石牟礼道子 前の世の眼。この生の海。
廣松 渉 現代社会の存立構造
黒井千次 日常の中の熱狂とニヒル
山田太一 母子関係と日本社会
三浦 展 若い世代の精神変容
藤原帰一 二一世紀世界の構図
津島佑子 人間はどこへゆくのか
加藤典洋 現代社会論/比較社会学を再照射する
交響空間――あとがきに(見田宗介)
人名索引
書誌情報
紙版
発売日
2019年12月12日
ISBN
9784065181263
判型
四六
価格
定価:2,090円(本体1,900円)
通巻番号
716
ページ数
312ページ
シリーズ
講談社選書メチエ
電子版
発売日
2019年12月11日
JDCN
06A0000000000167926L
初出
収録作品参照。
収録作品
-
作品名初出
-
作品名
超高層のバベル
初出
「バベルの塔」神話 河合隼雄編「講座 心理療法」第8巻
-
作品名
続き
初出
「心理療法と現代社会」(岩波書店、2001年4月)に掲載。
-
作品名
戦後日本をふりかえる
初出
戦後40年の文化―どこからどこへ『朝日新聞』1985年1月3日(朝刊)に掲載。
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作品名
根底を問いつづける存在
初出
世紀末を解く『東京新聞』1997年1月3日(朝刊)、4日(夕刊)、
-
作品名
続き
初出
6日~10日(夕刊)、13日(夕刊)に掲載。
-
作品名
続き
初出
のち、中央公論編集部編「吉本隆明の世界」中央公論新社、2012年6月に再録。
-
作品名
前の世の眼。この生の海。
初出
豊かな老いへ―往復書簡『朝日新聞』1990年7月5日・12日・19日・26日
-
作品名
続き
初出
(朝刊)に掲載。
-
作品名
現代社会の存立構造(真木悠介名義)
初出
物象化・存立構造論としての「資本論」『情況』1973年7月号
-
作品名
続き
初出
に掲載
-
作品名
日常の中の熱狂とニヒル
初出
市民たちの空虚な思い―ニヒルと熱中のはざまで『展望』1971年4月号
-
作品名
母子関係と日本社会
初出
オウムを生んだ母子関係の力学『大航海』第5号、1995年8月
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作品名
若い世代の精神変容
初出
「進歩」が終わった世界を若者はどう生きるか『中央公論』2009年7月号
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作品名
21世紀世界の構図
初出
ベルリンの壁崩壊20年ー世界と日本はどう変わったのか『神奈川大学評論』第65号
-
作品名
続き
初出
2010年3月
-
作品名
人間はどこへゆくのか
初出
『東京新聞』2007年1月3日(朝刊)
-
作品名
現代社会論/比較社会学を再照射する
初出
『現代思想』2016年1月臨時増刊号「総特集
-
作品名
続き
初出
三田宗介=真木悠介―未来の社会学のために」に掲載。
著者紹介
1937年、東京生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京大学大学院総合文化研究科教授、共立女子大学家政学部教授を歴任。東京大学名誉教授。専門は、社会学。 主な著書に、『近代日本の心情の歴史』(講談社(ミリオンブックス)、1967年。のち、講談社学術文庫、1978年)、『現代日本の心情と論理』(筑摩書房、1971年)、『宮沢賢治』(岩波書店(20世紀思想家文庫)、1984年。のち、岩波現代文庫、2001年)、『現代社会の理論』(岩波新書、1996年。改訂、2018年)、『現代社会はどこに向かうか』(岩波新書、2018年)ほか。 真木悠介名義の著作に、『気流の鳴る音』(筑摩書房、1977年。のち、ちくま学芸文庫、2003年)、『時間の比較社会学』(岩波書店、1981年。のち、岩波現代文庫、2003年)、『自我の起原』(岩波書店、1993年。のち、岩波現代文庫、2008年)ほか。 著作集として、『定本 見田宗介著作集』(全10巻、岩波書店、2011-12年)、『定本 真木悠介著作集』(全4巻、岩波書店、2012-13年)がある。