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今、空に翼広げて
イマソラニツバサヒロゲテ
- 著: 山本 悦子
小一のつばさは台風の日に家族が留守で家に帰れず、同じ通学班で小五の真紀の家で遊んでもらって以来、真紀に子犬のように懐いている。だがある日真紀はつばさが同級生に「どろぼう」とよばれて仲間はずれにされているところを見て・・・。
野間児童文芸賞受賞作家、山本悦子氏待望の新作長編!一年から六年までの個性豊かな六人の通学班の物語
わたしたちの通学班は双葉町三班。全員で六人。六年の里奈ちゃんが班長。里奈ちゃんは、六年で一番頭がいいらしい。同じく六年のパウロくんが副班長。パウロくんは、ブラジル人。大きな目とチョコレート色のはだは、まさに異国の人だけど、中身は超日本人。最近、俳句にはまってる。一年ボウズのつばさは、「さ」行がいえない。自分のことを「つばしゃ」という。二年生のティアラちゃんは、純粋な日本人。名前を漢字で書くと美愛姫。漢字と読みがなは、別物としか思えない。空気を読まない男、圭太は四年。そして、五年のわたし、原田真紀。
この六人が一列になって歩く。わたしが一年のころは、二人ずつで手をつないで歩いていた。でも、小学生が二列で歩くとじゃまになるし、歩道からはみ出るところもあるので、今は一列。班長が先頭、副班長が一番最後。あいだに低学年をはさむようにしてならぶ。うちだと、里奈ちゃん、つばさ、わたし、ティアラちゃん、圭太、パウロくんの順。
だから、わたしの視界には、いつもつばさの黄色いぼうしがある。─本文より。
ⒸEtsuko Yamamoto
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目次
一 原田真紀五年 つばさ係
二 岡崎圭太四年 ハニキヌキセヌ男
三 原田真紀五年 万年四位
四 更科里奈六年 通学班班長
五 原田真紀 口は災いの元
六 ダ・シルバ・パウロ六年 クールなヒーロー
七 原田真紀 好きの魔法にかかってる
八 岡崎圭太四年 知らないほうがよかったのに
九 更科里奈六年 「お手本さん」の本当の姿
十 原田真紀五年 言葉の力
書誌情報
紙版
発売日
2019年10月18日
ISBN
9784065168783
判型
四六変型
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
322ページ
電子版
発売日
2019年10月17日
JDCN
06A0000000000152443S
著者紹介
1961年、愛知県生まれ。元小中学校教員。「グッバイドール」で第12回月刊MOE童話大賞童話賞受賞。1996年、『ぼくとカジババのめだまやき戦争』(ポプラ社)でデビュー。『WA・O・N 夏の日のトランペット』(ひくまの出版)で第7 回新・北陸児童文学賞受賞。『がっこうかっぱのイケノオイ』(童心社)が第57回青少年読書感想文全国コンクール小学校低学年の部課題図書に選ばれる。『先生、しゅくだいわすれました』(童心社)がミュンヘン国際児童図書館の選ぶブックリスト「The White Ravens 2016」に選ばれる。2017年『神隠しの教室』(童心社)で第55回野間児童文芸賞を受賞。その他の作品に『夜間中学へようこそ』(岩崎書店)など多数。