庭の山の木

田舎風のばらずしをこしらえるのに、ちょっと似ている――
七十編に及ぶ随筆を一冊にまとめる工程を、著者はあとがきでそんなふうに表現した。
家庭でのできごと、世相への思い、愛する文学作品、敬慕する作家たち――
それぞれの「具材」が渾然一体となり、著者のやわらかな視点、ゆるぎない文学観が浮かび上がる。
充実期に書かれた随筆群を集成した、味わい深い一書。

Ⓒ今村夏子

書誌情報

紙版

• 発売日: 2020年02月12日
• ISBN: 9784065186596
• 判型: A6
• 価格: 定価：2,035円（本体1,850円）
• ページ数: 352ページ
• シリーズ: 講談社文芸文庫

電子版

• 発売日: 2020年02月10日
• JDCN: 06A0000000000184137A

初出

本書は『庭の山の木』（冬樹社・1973年5月刊）を底本としました。

著者紹介

著： 庄野　潤三（ショウノ　ジュンゾウ）

庄野潤三(1921.2.9～2009.9.21）　小説家。大阪生まれ。大阪外国語大学在学中、チャールズ・ラムを愛読。九州帝国大学卒。1946年、島尾敏雄、三島由紀夫らと同人誌を発行。教員、会社員を経て小説家に。55年、「プールサイド小景」で芥川賞受賞。57年から一年間、米国オハイオ州ガンビアのケニオン大学で客員として過す。60年、『静物』で新潮社文学賞、66年、『夕べの雲』で読売文学賞、71年、『絵合せ』で野間文芸賞を受賞。芸術院会員。80年、ロンドン訪問。80歳以降も毎年刊行された一家の年代記的作品は、世代を超えた多数の愛読者をもつ。『庄野潤三全集』（全10巻）ほか著書多数。