りりかさんのぬいぐるみ診療所 空色のルリエル

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りりかさんのぬいぐるみ診療所 空色のルリエル

リリカサンノヌイグルミシンリョウジョソライロノルリエル

 りりかさんは、てんくまとちびくまが大好きで、どこへだって連れて歩き、朝起きてから夜ねむるときまで、いつも一緒でした。けれども、ぬいぐるみのからだというのは、思っていたほど丈夫なものではありませんでした。かわいがればかわいがるほど、やぶけたり、ほつれたり、よごれたりしてしまうことに、小さいりりかさんは気づいてしまったのです。
 

そこで、りりかさんは大人になると、洋裁学校に入学して、じゅうぶんな知識と技術を身につけました。そうして、ぬいぐるみを愛する人たちが、いつまでも幸せにくらしていけるように、こわれたぬいぐるみを治療するための「りりかぬいぐるみ診療所」を開いたのです。
場所は、美しい高原の森のなか。いちばん近い町から、一時間ほどバスにゆられたあと、さらにバス停から三十分ほどあるいたところに、りりかぬいぐるみ診療所はありました。古い別荘を改築して作られたその診療所の周りには、しらかばや、ぶなや、くりの木がはえ、天気のいい日には、鳥や、りすや、野うさぎなどが、ひょっこり顔を出すこともありました。
 そんな山の中にあるにもかかわらず、どこでうわさをきいたのか、りりかさんのもとへやってくる患者さんは、あとをたちませんでした。りりかぬいぐるみ診療所にぬいぐるみをあずけると、どんなにぼろぼろになったぬいぐるみでも、まるで生まれかわったように、いきいきとしたすがたでもどってくると、もっぱらの評判だったからです。
 りりかさんは、ぬいぐるみを直す腕がいいということのほかは、とくにかわったところもない、ごくふつうの女性に見えました。けれどもたった一つだけ、りりかさんには、だれも知らないひみつがあったのです。いったいどんなひみつなのかは……物語を読み進めていくうちに、すぐにわかることでしょう。

 さあ、今日もりりかぬいぐるみ診療所に、患者さんがやってきたようです。(本文より)
 


ⒸYuko Kanno/Yoko Kitami

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目次

もくじ

1 空色のルリエル   
2  おしゃべりリッキー   
3  思い出のかめごろう
4 真夜中のちいさな訪問者 

書誌情報

紙版

発売日

2021年11月04日

ISBN

9784065249277

判型

A5

価格

定価:1,540円(本体1,400円)

ページ数

130ページ

シリーズ

わくわくライブラリー

電子版

発売日

2021年11月02日

JDCN

06A0000000000393379U

著者紹介

作: かんの ゆうこ(カンノ ユウコ)

東京都生まれ。東京女学館短期大学文科卒業。児童書に『はりねずみのルーチカ』シリーズ、(絵・北見葉胡) 『ソラタとヒナタ』シリーズ(絵・くまあやこ)、『白うさぎと天の音 雅楽のおはなし』(絵・東儀秀樹)(以上、講談社)、 『とびらの向こうに』(絵・みやこしあきこ/岩崎書店)。 絵本に、『ふゆねこ』(絵・こみねゆら)をはじめとする『四季ねこえほん』シリーズ、『はこちゃん』(絵・江頭路子)、 「星うさぎと月のふね」(絵・田中鮎子)(以上、講談社)などがある。

絵: 北見 葉胡(キタミ ヨウコ)

1957年、神奈川県生まれ。武蔵野美術短期大学卒業。主な絵本に『カノン』、『なつねこ』(以上、文・かんのゆうこ 講談社)、「絵本・グリム童話」シリーズ(訳・那須田淳 岩崎書店)など、装画・挿絵に「安房直子コレクション」(偕成社)など。2005年『タマリンとポチロー』(講談社)、2015年『マッチ箱のカーニャ』(白泉社)でボローニャ国際絵本原画展入選、2009年『ルウとリンデン 旅とおるすばん』(作・小手鞠るい 講談社)でボローニャ国際児童図書賞(ラガッツィ賞)受賞。「はりねずみのルーチカ」童話シリーズ(講談社)の装画を担当。

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