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ケアの倫理とエンパワメント
ケアノリンリトエンパワメント
- 著: 小川 公代

自己と他者の関係性としての〈ケア〉とは何か。
強さと弱さ、理性と共感、自立する自己と依存する自己……、二項対立ではなく、そのあいだに見出しうるもの。ヴァージニア・ウルフ、ジョン・キーツ、トーマス・マン、オスカー・ワイルド、三島由紀夫、多和田葉子、温又柔、平野啓一郎などの作品をふまえ、〈ケアすること〉の意味を新たな文脈で探る画期的な論考。
本書は、キャロル・ギリガンが初めて提唱し、それを受け継いで、政治学、社会学、倫理学、臨床医学の研究者たちが数十年にわたって擁護してきた「ケアの倫理」について、文学研究者の立場から考察するという試みである。(中略)この倫理は、これまでも人文学、とりわけ文学の領域で論じられてきた自己や主体のイメージ、あるいは自己と他者の関係性をどう捉えるかという問題に結びついている。より具体的には、「ネガティブ・ケイパビリティ」「カイロス的時間」「多孔的自己」といった潜在的にケアを孕む諸概念と深いところで通じている。本書は、これらの概念を結束点としながら、海外文学、日本文学の分析を通して「ケアの倫理」をより多元的なものとして捉え返そうという試みである。(本書「あとがき」より)
ⒸKimiyo Ogawa
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書誌情報
紙版
発売日
2021年08月30日
ISBN
9784065245392
判型
四六
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
226ページ
電子版
発売日
2021年08月27日
JDCN
06A0000000000347361Q
初出
「序章 文学における<ケア>」…書き下ろし、「1章 ヴァージニア・ウルフと<男らしさ>」…「群像」2020年12月号、「2章 越境するケアと<クィア>な愛」…「群像」2021年2月号、「3章 弱さの倫理と<他者性>」…「群像」2021年3月号。
収録作品
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作品名初出
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作品名
序章 文学における〈ケア〉
初出
書き下ろし
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作品名
1章 ヴァージニア・ウルフと〈男らしさ〉
初出
『群像』2020年12月号
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作品名
2章 越境するケアと〈クィア〉な愛
初出
『群像』2021年2月号
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作品名
弱さの倫理と〈他者性〉
初出
『群像』2021年3月号
著者紹介
1972年和歌山県生まれ。上智大学外国語学部教授。ケンブリッジ大学政治社会学部卒業。グラスゴー大学博士課程修了(Ph.D.)。専門は、ロマン主義文学、および医学史。著書に『文学とアダプテーション――ヨーロッパの文化的変容』(共編著、春風社)、『ジェイン・オースティン研究の今』(共著、彩流社)、訳書に『エアスイミング』(シャーロット・ジョーンズ著、幻戯書房)『肥満男子の身体表象』(共訳、サンダー・L・ギルマン著、法政大学出版局)などがある。