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わたしが消える
ワタシガキエル
- 著: 佐野 広実

第66回江戸川乱歩賞受賞作!
綾辻行人氏(選考委員)、推薦。
「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」
元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。
途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。
これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。
刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。
残された時間で、自分に何ができるのか。
「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー!
文庫化にあたり、受賞作の前日譚にあたる短編「春の旅」も収録。
ⒸHiromi Sano
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目次
序章 宣告
第一章 身元不明者
第二章 行動監視者
第三章 犯罪当事者
終章 残された時間
(前日譚)春の旅
書誌情報
紙版
発売日
2022年09月15日
ISBN
9784065293140
判型
A6
価格
定価:968円(本体880円)
ページ数
432ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2022年09月15日
JDCN
06A0000000000543793A
初出
『わたしが消える』は2020年9月に、小社より単行本として刊行されました。「春の旅」は小説現代2020年10月号に掲載されました。文庫化にあたり、それぞれ加筆・修正しています。
著者紹介
1961年、神奈川県生まれ。1999年、第6回松本清張賞を「島村匠」名義で受賞。2020年、本作で第66回江戸川乱歩賞を受賞。2022年、同調圧力をテーマとする受賞第一作『誰かがこの町で』を刊行している。