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我が身を守る法律知識
ワガミヲマモルホウリツチシキ
- 著: 瀬木 比呂志

この一冊で、あらゆる法的トラブルを予防できる知識が身につく!
市民、ビジネスパースン、学生、実務家、訴訟当事者・関係者必携の一冊!
法的紛争・危険を防止するためには、個別的、断片的な知識・情報も必要ですが、より重要なのは、それらの基盤になる法的なものの考え方や感覚を身につけることです。それが身についていさえすれば、個別・断片的な知識・情報を超えた範囲の事柄についても、おおむね適切に対処することができるからです。
本書は、普通の日本人が一生の間に出あう可能性のある各分野の法的紛争を網羅し、そうした紛争に巻き込まれないための予防法、そして万一トラブルが起きたときの対処法となる法律知識・情報・基本的な法律論を、わかりやすく、正確に、かつ興味深く読めるようなかたちでまとめ上げた、コンパクトながら、実用性と密度の高い一冊です。著者は、33年にわたり膨大な民事訴訟を手がけてきた元裁判官・現大学教授で、民事訴訟法の権威でもあります。
具体的には、まず、第2章で、遭遇することが最も多く、結果も重大なものとなりがちな交通事故関係につき、損害賠償の実際と過失相殺、危険性の高い行為、保険の内容、事故対応、保険会社との交渉、訴訟等の事柄を、基本的な前提知識をも確認しつつ論じます。
第3章では、民事訴訟の数が非常に多い「不動産関連紛争」一般につき、使用貸借と賃貸借、土地・建物購入、建物新築と欠陥住宅紛争、競売物件、隣人間紛争等の各側面から説きます。
第4章では、痴漢冤罪を含め、刑事事件関係全般について、若者や子どもをも含めた普通の市民が注意しておくべき事項について述べます。
第5章では、親族法の領域につき、離婚事由や手続、これに伴う各種の給付・親権者指定、夫婦間の子の奪い合い、国際結婚、不貞慰謝料等の事柄を語ります。
第6章では、近年非常に紛争の増えている相続法の領域につき、相続人と相続分、相続放棄、各種の遺言、遺産分割、遺留分侵害額請求、相続税対策の落とし穴等の事柄を、いずれも、できる限り詳しく、わかりやすく、また、正確に解説します。ことに第6章は本書の大きな目玉であり、具体的な例についてのかなり突っ込んだ記述をも含みます。相続法は近年大改正された分野の一つであり、また、読者にとっての必要性も高いと思われるからです。
第7章と第8章では、それ以外の多様な紛争・危険防止策について、前者では、雇用、投資、保証といった経済取引の、後者では、医療、日常事故、いじめ、海外旅行、高齢者をねらった犯罪といった日常生活上の紛争・危険の各観点からくくった上で、重要と思われる事項をピックアップしてゆきます。
Ⓒ瀬木比呂志
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目次
第1章 法的紛争防止のために必要な知識と法的感覚
予防法学のすすめ/「法の無知」から生じる日本の法的紛争/予防法学とは/予防法学の総論的事項/予防法学各分野の具体的内容
第2章 交通事故 不測の事故で人生を失う危険
交通事故の損害賠償額は驚くほど小さい/種々問題のある逸失利益算定、大きな中間利息控除/無情な過失相殺/交通事故損害賠償について考えてみるべきこと/ころばぬ先の杖―安全運転のすすめ/リスク回避のための手厚い保険加入/事故発生直後の対応/保険会社との交渉、訴訟等
第3章 不動産をめぐるトラブル 普通の市民が出あいやすい重大紛争
深刻な争いになることの多い使用貸借/賃貸借についてもトラブルは多い/土地購入に当たっての注意事項/建物購入に当たっての注意事項/欠陥住宅紛争とその予防/建物新築契約について知っておくべき事柄 /競売物件にもご注意!/隣人間紛争は一生続く心労の種
第4章 痴漢えん罪に学ぶ刑事事件の恐怖
本当は恐ろしい日本の刑事司法システム/二つの大きな問題/痴漢えん罪とその具体的防止策/身に覚えのない痴漢の疑いをかけられたら!/もしも逮捕されてしまったら!/普通の人でも起こしやすい刑事事件類型/名誉毀損・侮辱については、背後にある問題も考える必要性
第5章 離婚、子ども、不貞 家族にかかわるトラブル
どんな場合に離婚できるのか―離婚事由/離婚のための手続/離婚慰謝料、財産分与、年金分割/親権者の指定、養育費と生活費、面会交流/離婚前の別居夫婦間の子の奪い合い/国際結婚についての注意事項/日本の家族法関連法制度・判例等の問題点/親族法の改正について/夫や妻の不貞の相手方に対する慰謝料請求の是非/ちょっとどうかという訴えも……
/男女関係にまつわるそのほかのトラブル・危険事項
第6章 相続をめぐる「骨肉の争い」とその予防策
激増している相続紛争/相続人と相続分、配偶者居住権、相続放棄/遺言の方法/公正証書遺言の問題/遺産分割とその具体的事例/遺留分侵害額請求とその具体的事例/相続紛争を家裁で一括解決するための改革案/相続紛争の実態と紛争防止のための基本的注意事項/「相続税対策」の落とし穴
第7章 雇用、投資、保証 経済取引関連紛争
雇用をめぐる紛争(1)残業代不払(2)過労死、過労自殺と労災請求(3)解雇(4)各種のハラスメント/雇用紛争の背景にある問題/投資についての基本的かつ重要な注意事項/保証は、保証人も債権者もご注意を
第8章 日常生活にひそむ危険 医療、日常事故、いじめ、海外旅行、高齢者詐欺
医療訴訟は難しいので予防が肝心/日常生活上の思いがけない事故にもご注意!/いじめに対する適切な対処の方法/海外旅行にも危険がいっぱい/詐欺や悪質商法から高齢者を守るには
第9章 紛争が起こってしまったら 弁護士の選び方、とりうる方法等
法律相談から弁護士委任まで/弁護士の費用と報酬―委任に当たっての注意事項/さまざまな紛争解決方法/本人訴訟の是非
終章
書誌情報
紙版
発売日
2023年03月16日
ISBN
9784065312841
判型
新書
価格
定価:1,100円(本体1,000円)
通巻番号
2697
ページ数
256ページ
シリーズ
講談社現代新書
電子版
発売日
2023年03月15日
JDCN
06A0000000000640312P
著者紹介
1954年、名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業。1979年から裁判官。2012年明治大学教授に転身、専門は民事訴訟法・法社会学。在米研究2回。著書に、『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』(第2回城山三郎賞受賞)『民事裁判入門』(いずれも講談社現代新書)、『檻の中の裁判官』(角川新書)、『リベラルアーツの学び方』『究極の独学術』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『教養としての現代漫画』(日本文芸社)、『裁判官・学者の哲学と意見』(現代書館)、小説『黒い巨塔 最高裁判所』(講談社文庫)、また、専門書として、『民事訴訟法』『民事保全法』『民事訴訟の本質と諸相』『民事訴訟実務・制度要論』『ケース演習 民事訴訟実務と法的思考』(いずれも日本評論社)、『民事裁判実務と理論の架橋』(判例タイムズ社)等がある。