
マイページに作品情報をお届け!
ユーカラおとめ
ユーカラオトメ
- 著: 泉 ゆたか

「ユーカラを書き記すことは、私が生まれてきた使命なのだ」
絶滅の危機に瀕した口承文芸を詩情あふれる日本語に訳し、今も読み継がれる名著『アイヌ神謡集』。著者は19歳の女性だった。
民族の誇り。差別との戦い。ユーカラに賭ける情熱。短くも鮮烈な知里幸恵の生を描く、著者の新たな代表作!
「いつまでも寝込んでいるわけにもいきません。私には時間がないんです」
分厚く腫れた喉から流れ出した自分の言葉に、幸恵ははっとした。
私には時間がない。
そうなのか?
思わず胸に掌を当てた。満身創痍の身体の中心で、心臓は未来へ駆け出す足音のように勢いよくリズムを刻んでいた。
(本文より)
Ⓒ泉ゆたか
- 前巻
- 次巻
オンライン書店で購入する
目次
プロローグ
第一章 東京
第二章 静江
第三章 コタンピラ
第四章 村井
第五章 百合子
第六章 貴女の友
第七章 おとめ
第八章 靄
第九章 銀の滴
書誌情報
紙版
発売日
2024年01月31日
ISBN
9784065319451
判型
四六変型
価格
定価:1,925円(本体1,750円)
ページ数
272ページ
電子版
発売日
2024年01月30日
JDCN
06A0000000000653102U
著者紹介
1982年神奈川県逗子市生まれ。早稲田大学卒、同大学院修士課程修了。2016年『お師匠さま、整いました!』で第11回小説現代長編新人賞を受賞し小説家デビュー。2019年『髪結百花』で第8回日本歴史時代作家協会賞、第2回細谷正充賞を受賞。近著『おばちゃんに言うてみ?』『君をおくる』ほか、「お江戸けもの医毛玉堂」シリーズ、「お江戸縁切り帖」シリーズ、「おんな大工お峰」シリーズ、「眠り医者ぐっすり庵」シリーズなどがある。