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我が手の太陽
ワガテノタイヨウ
- 著: 石田 夏穂

第169回芥川賞候補作。
鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥るのと同じ、失った自信は訓練や練習では取り戻すことはできない。現場仕事をこなしたい、そんな思いに駆られ、伊東は……。
“「人の上に立つ」ことにまるで関心がなかった。
自分の手を実際に動かさないのなら、それは仕事ではなかった。”
”お前が一番、火を舐めてるんだよ”
”お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。
お前自身が、誰より馬鹿にしているというのに”
腕利きの溶接工が陥った突然のスランプ。
いま文学界が最も注目する才能が放つ異色の職人小説。
Ⓒkaho ishida
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書誌情報
紙版
発売日
2023年07月13日
ISBN
9784065330760
判型
四六変型
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
144ページ
電子版
発売日
2023年07月12日
JDCN
06A0000000000695550W
初出
「群像」2023年5月号
著者紹介
石田夏穂(いしだ・かほ) 1991年埼玉県生まれ。東京工業大学工学部卒。2020年本書収録「その周囲、五十八センチ」で第38回大阪女性文芸賞を受賞。2021年「我が友、スミス」で第45回すばる文芸賞佳作、同作で第166回芥川龍之介賞候補。2022年「ケチる貴方」で第44回野間文芸新人賞候補となる。著書に『我が友、スミス』『黄金比の縁』(ともに集英社)『ケチる貴方』(講談社)がある。