わたしの本はすぐに終る 吉本隆明詩集

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電子あり

わたしの本はすぐに終る 吉本隆明詩集

ワタシノホンハスグニオワルヨシモトタカアキシシュウ

講談社文芸文庫

戦後思想界の巨人・吉本隆明の本質は詩人だった。
吉本はまず私家版の詩集『固有時との対話』(1952年)、同じく私家版詩集『転位のための十篇』(1953年)で、まず詩人として歩みはじめる。その後、武井昭夫との共著『文学者の戦争責任』(1956年)に収められる戦前の左翼文学者の「転向」問題を扱う評論を発表しはじめることで、文壇や論壇でも知られるようになっていく。
その後も吉本隆明は文芸評論家や思想家としての仕事と並行して詩の創作をつづけ、抒情、論理、抽象、追憶、喜怒哀楽…読むものを惹きつけてやまぬ、まさに豊穣というほかない世界を作り上げたのだった。
本書は、著者自撰の『吉本隆明全集撰 1 全詩撰』(1986年)の後半部分(前半は文芸文庫既刊『吉本隆明初期詩集』に収録)を占める「定本詩集4」「定本詩集5」「新詩集」「新詩集以後」という1950年代半ばから80年代まで書き継がれた詩作群、70年代~80年代の雑誌連載をもとにした『記号の森の伝説歌』『言葉からの触手』という2冊の著作、90年代に雑誌掲載された「十七歳」と「わたしの本はすぐに終る」という2篇の詩で構成される。
講談社文芸文庫既刊の『吉本隆明初期詩集』と併せ、吉本隆明による詩の世界を集大成するものとなっている。


ⒸSawako Yoshimoto

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目次

1定本詩集(4、5)+新詩集
  ぼくが罪を忘れないうちに
  少年期
  異数の世界へおりてゆく
  佃渡しで
  〈農夫ミラーが云つた〉
 など
2新詩集以後
  詩人論
  乾いたのどへ
  海に流した自伝
  祖母の影絵
  活字都市
 など
3記号の森の伝説歌
4言葉からの触手
5十七歳 わたしの本はすぐに終る

著者に代わって読者へ  ハルノ宵子
解説  高橋源一郎
年譜  高橋忠義

書誌情報

紙版

発売日

2024年03月11日

ISBN

9784065348826

判型

A6

価格

定価:3,190円(本体2,900円)

ページ数

544ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

電子版

発売日

2024年03月08日

JDCN

06A0000000000764374C

初出

本書は『吉本隆明初期詩集』(講談社文芸文庫 1992年10月刊)の続巻にあたり、私家版の詩集『転位のための十篇』発行(1953年9月)より後に発表された作品を収録しました。本書のIとIIは『吉本隆明全集撰 1 全詩撰』(大和書房 1986年9月刊)を底本とし、『吉本隆明全集3』『同4』『同6』『同7』『同9』『同12』『同13』『同15』『同16』『同17』『同18』『同19』『同20』を適宜参照しました。IIIは『吉本隆明全集21』を、IVは『同22』を、Vは『同25』『同27』をそれぞれ底本としました。

著者紹介

著: 吉本 隆明(ヨシモト タカアキ)

吉本隆明(1924・11・25~2012・3・16)詩人、批評家。東京生まれ。東京工業大学卒業。1950年代、『固有時との対話』『転位のための十篇』で詩人として出発するかたわら、戦争体験の意味を自らに問い詰め文学者の戦争責任論・転向論を世に問う。60年安保闘争を経て61年、雑誌「試行」を創刊。詩作、政治論、文芸評論、独自の表現論等、精力的に執筆活動を展開し「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。80年代からは、消費社会・高度資本主義の分析を手がけた。主な著書に『言語にとって美とはなにか』『自立の思想的拠点』『共同幻想論』『心的現象論序説』『最後の親鸞』『マス・イメージ論』『ハイ・イメージ論』『アフリカ的段階について』『夏目漱石を読む』(小林秀雄賞)、『吉本隆明全詩集』(藤村記念歴程賞)等がある。 2014年3月より全38巻別巻1の『吉本隆明全集』が刊行される。

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