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普天を我が手に 第一部
フテンヲワガテニ ダイ1ブ
- 著: 奥田 英朗

大正15年(昭和元年)12月25日未明、東京・麹町の陸軍少佐・竹田耕三の元に、待望の長男が誕生した。〈志郎〉と名付けられた子供は、日本中が大正天皇崩御の悲しみに暮れる中で、一家の新たな希望となる。
同日、北陸・金沢では、矢野一家の親分・矢野辰一が、賭場での諍いの落とし前をつけに、敵対する一家に乗り込んだ。帰宅した辰一を待っていたのは、懇意の社長から預かっていた女工の出産と死だった。辰一は孤児を〈四郎〉と名付け、自分の手元で養育することに。
一方その頃、東京・神保町で進歩的な婦人雑誌「群青」の編集者として働く森村タキが、社会運動家との間に女子を出産。『人形の家』にあやかり〈ノラ〉と名付けたその子を、身勝手な父親から引き離し、女手一つで育てることを決意する。さらに同年の大晦日、野心を胸に中国・大連へわたった五十嵐譲二は、主宰するジャズ楽団の年越しパーティ中に妻から出産の報告を受ける。出生した男子を〈満〉と名付け、昭和元年最後の夜に最高の演奏をする。
昭和100年、戦後80年に生まれる、壮大な昭和史サーガ三部作。
第一部は、親世代の視点を中心に、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦までを描く。
ⒸHideo Okuda
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書誌情報
紙版
発売日
2025年06月18日
ISBN
9784065388761
判型
四六変型
価格
定価:2,695円(本体2,450円)
ページ数
592ページ
電子版
発売日
2025年06月17日
JDCN
06A0000000000914881I
初出
「小説現代」2015年5月号~2017年7月号
著者紹介
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。第2作『最悪』がベストセラーに。2002年『邪魔』で大藪春彦賞を受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『リバー』、『罪の轍』など。