Cloud on the 空き家
クラウド オン ザ アキヤ
- 著: 小池 昌代

幾千年の時を超えて、あなたと恋をしている奇跡。
和歌にみちびかれ、記憶の戸はひらかれた――
生き死にの極限に迫る、著者渾身の恋愛小説。
ひと月前に兄を亡くして天涯孤独の身となったわか子は、週に三日、空き家管理の仕事をすることになった。趣味の和歌を思い浮かべながら、何かが死んでいるような腐敗臭のする家で掃除をしていると、「なびかじな……」という藤原定家の和歌がきっかけとなって不意に景色が反転し、気を失ってしまう。目が覚めると、空き家の持ち主の河原さんと見たことのない青年がわか子を心配そうに見下ろしていた。それは時間のなかを旅してきたような、不思議な感覚で――。
雲=クラウド=記憶の保存庫
若さを失うことは、少しも寂しいことではないの――
過去の恋を思い出しながら、わか子は『源氏物語』の朝顔の君に自身を重ねてみる。
前世か先祖か幻か、わか子のなかに眠っていた女たちの記憶が動き出す。
装画:栗田有佳
装幀:大久保伸子
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目次
1.Cloud on the 空き家
2.うどの貴人
3.もの言う馬
4.魂ぎれ
書誌情報
紙版
発売日
2025年07月24日
ISBN
9784065401439
判型
四六
価格
定価:2,475円(本体2,250円)
ページ数
216ページ
著者紹介
1959年、東京都生まれ。1997年、詩集『永遠に来ないバス』で第15回現代詩花椿賞受賞。2000年、詩集『もっとも官能的な部屋』で第30回高見順賞受賞。2001年、『屋上への誘惑』で第17回講談社エッセイ賞受賞。2007年、「タタド」で第33回川端康成文学賞受賞。2008年、詩集『ババ、バサラ、サラバ』で第10回小野十三郎賞受賞。2010年、詩集『コルカタ』で第18回萩原朔太郎賞受賞。2014年、『たまもの』で第42回泉鏡花文学賞受賞。近年の主な著作に、『かきがら』、『くたかけ』、詩集『赤牛と質量』、そして古典に接近する最初の契機となった『百人一首』の現代語訳がある。詩を根幹のキーワードに世界を見る作家。詩のアンソロジストとしても、『放課後によむ詩集』ほか、数多くのアンソロジーを刊行している。