2025.07.02
JSAI 2025 - 2025年度人工知能学会全国大会(第 39 回)に参加しました
こんにちは!IT 戦略企画室デジタルソリューション部の家永、宮原、One to One マーケティング部の佐々木です。
2025 年 5 月 27 日(火)〜 30 日(金)に大阪にて開催された JSAI 2025 - 2025 年度人工知能学会全国大会(第 39 回)において、講談社はゴールドスポンサーとして参加し、登壇発表を行いました。本記事ではその際の様子をご紹介したいと思います。
JSAI 2025 について
人工知能学会全国大会は、日本を代表する人工知能関連の研究発表会です。近年は LLM の隆盛もあり参加者数や発表件数が急激に伸びており、今回の参加者数は 4922 人、スポンサー数は 140 団体と、いずれも過去最高を更新していました。また 1000 件を超える非常に多くの発表がありました。

登壇発表紹介
講談社は JSAI 2025 にて『おもしろくて,ためになる』を拡げる出版社のドメイン知識 × AI 活用事例という題目で登壇発表を行いました。
人工知能学会全国大会にはオーガナイズドセッションという「萌芽的な研究テーマや学際的課題など、一般セッションには収まらないテーマについて深い議論を行う」ことを目的としたセッションが存在します。
このオーガナイズドセッションにて「AI を活用したマーケティング実践というセッションをやりたいので講談社さんも一緒にどうですか」とお誘いを受けまして、参加することになりました。
本登壇では社内の AI 活用事例(需要予測、タイトルの最適化補助、書籍推薦)をオムニバス形式で紹介をしました。内容の独自性は出版社ならではの課題感をベースに、各現場に存在する職人的なドメイン知識を拾い上げ、それらをどう問題に落とし込むかという点にあると考えています。各課題においては階層ベイズや BERT、Deep Ensemble、……など比較的素朴な手法で取り組みました。
『KODANSHA IT Inside はじめます』でも記載されておりますが、講談社が積極的に IT 活用に取り組んでいるイメージを持たれている方は少ないと感じられました。というのも、登壇後には登壇内容そのものに加えて、それらを現状の業務で活用していることに対して驚きの声を複数いただいたからです。

スポンサーブース展示
今回設けたスポンサーブースでは、講談社が現在取り組んでいる機械学習および AI 関連のプロジェクトや、今後の展望についてご紹介させていただきました。
ブースには、他社でデータ分析に取り組まれている方々をはじめ、研究者や学生の方々にも多数お越しいただきました。やはり、出版社である弊社が JSAI にブースを設けていることに驚く方が多く、それがきっかけで足を運んでくださった印象です。なにより、弊社の作品に愛を持ってくださっている方にもたくさんお会いできたことが、大変ありがたい機会でした。皆様、ご来場本当にありがとうございました!

プログラムおよび企業展示
LLM が変える AI 研究の形:自動研究の最前線:SakanaAI の AI サイエンティストをはじめとして、科学研究の自律化が現実のものになりつつあるというお話でした。私たち講談社のようなクリエイティブの会社にとって、AI がコンテンツを大量生成する未来は他人事ではありません。ですが、その AI を作っている研究者たち自身も、「研究者の役割が根底から変わるかもしれない」というビジョンを持っている点に示唆を感じました。
他社様のブースでは、エンターテイメント業界の企業も多く出展されており、弊社メンバーも各ブースを回り、様々な活用事例について各社の方にお話を伺うことができました。具体的には、株式会社ディー・エヌ・エー様が生成 AI を用いて『逆転オセロニア』のデッキ生成といった「生成 AI の成果物」を直接活用されている取り組みや、合同会社DMM.com様のデータ戦略部で実施されている地に足のついたデータ分析・活用など、他社の先進的な取り組みは興味深く、今後の講談社の AI・DX 推進において多くの知見を得られる場となりました。
感想
家永
会場は熱気に包まれ、とにかく勢いを感じました。中でも印象的だったのは、コンテンツに強い関心を持つ若手が多かったこと。AI を武器に、マンガ、アニメ、ゲームなどをどう面白くできるか? 思わず「一緒に仕事したい!」と思わせる出会いがたくさんありました。実は講談社は、マンガや小説だけの会社ではありません。機械学習の専門書『MLP シリーズ』は講談社が発行しています。私たちにとっては「技術とエンタメのオタクが共存する環境」を伝えられる、貴重な機会となりました。
宮原
数年ぶりに人工知能学会に参加したのですが、これまでの学会ではあまり考えられなかった業界からの参加も大きく増えていると感じています(弊社も含めて)。各社の取り組みをセッションで活発に発信されている会社もあり、改めて直近の AI 界隈の盛り上がりを肌で実感する場となりました。
また、企業展示会場などを通じて様々な参加者の方と情報交流できたことも、私たちにとって貴重な機会でした。色々とお話させていただいた皆様、ありがとうございました!
佐々木
講談社の各学会へのスポンサー出展は 2022 年より実施しており、人工知能学会は2年ぶりの出展でした。2022 年に初めて出展したときもすでに多くの参加者やセッション数でしたが、今回はそれ以上でした。加えて AI に限らず他領域の知人と思わぬ再会もあり、この分野の興隆を感じました。また私事ですが、学会での登壇発表は 12 年ぶりでした。久しぶりの Tex はオンラインで完結でき、時代の流れを感じました。発表では出身研究室の教えを守り実機でデモをしました。
最後に
次回の JSAI は 2026 年 6 月 9 日(火)~ 12 日(金)に群馬県高崎市で開催予定とのことです。また多くの方々にお会いできることを楽しみにしています!
著者紹介
家永 憲人 / IT 戦略企画室 デジタルソリューション部
2002 年中途入社。システム開発・営業・新規事業など幅広くやってます。
宮原 颯 / IT 戦略企画室 デジタルソリューション部
2025 年中途入社のデータアナリスト。最近はヤンマガ Web のデータ分析を担当。学生時代の研究対象はクラスタリング。好きなマンガは「魔法騎士レイアース」「虚構推理」「恋せよまやかし天使ども」。
佐々木 直 / IT 戦略企画室 One to Oneマーケティング部
2021 年中途入社のソフトウェアエンジニア。Palcy の開発・運用・分析を担当。はじめて触れたプログラミング言語は Scheme。最近は Python と TypeScript を書くことが多め。2024 年に刊行された好きな推理小説は方丈貴恵「少女には向かない完全犯罪」。