
再軍備とナショナリズム
サイグンビトナショナリズムセンゴニホンノボウエイカン
- 著: 大嶽 秀夫

警察予備隊の誕生、そして自衛隊へ
戦後政治最大の論点 国防問題の原点にせまる
朝鮮戦争の勃発によりアメリカの対日政策は転換し、日本は警察予備隊を創設、再軍備への道を歩きだす。そこには出発点から、その後の防衛論議を大きく歪める数々の要因を孕んでいた。吉田内閣、芦田均や鳩山一郎ら自由主義者、西尾末廣ら社会党右派はこの防衛問題をどう捉え、いかに対処したのか。戦後政治上最大の論点を原点まで遡り精緻に検証する。
本書は、1950年代初期の保守党の再軍備政策に焦点を当てて、この判断に実証的裏付けを与えようとしたものである。それは同時に、現在にも引き継がれている日本の保守主義、(右派)自由主義のもつ問題性を指摘することにもなるはずである。筆者は、以前、敗戦から朝鮮戦争勃発までの戦後史を西ドイツと比較しながら検討した著作、『アデナウアーと吉田茂』を公刊した。本書は、実質的にその続編をなすもので、前著と同様、日本の保守政治の原点を、戦後初期の保守党指導者のイデオロギーに探ることを狙いとしている。――<本書「前書き」より>
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目次
第1章 2つの再軍備――西ドイツと日本
第2章 吉田内閣による再軍備――警察予備隊創設から保安庁発足まで
第3章 積極的再軍備論の登場と展開――日本のリベラリズムと防衛論
第4章 日本における社会民主主義の分裂――日本社会党内の防衛論争
書誌情報
紙版
発売日
2005年12月11日
ISBN
9784061597389
判型
A6
価格
定価:1,056円(本体960円)
通巻番号
1738
ページ数
288ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
1988年7月、中央公論社より刊行された『再軍備とナショナリズムー保守、リベラル、社会民主主義者の防衛観』を文庫化。