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金色の死
コンジキノシ

潜在的な<妻殺し>を断罪
江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に影響を与えたとされる怪奇的幻想小説「金色の死」、私立探偵を名乗る見知らぬ男に突然呼びとめられ、妻の死の顚末を問われ、たたみ掛ける様にその死を糾弾する探偵と、追い込まれる主人公の恐怖の心理を絶妙に描いて、日本の探偵小説の濫觴といわれた「途上」、ほかに「人面疽」「小さな王国」「母を恋ふる記」「青い花」など谷崎の多彩な個性が発揮される大正期の作品群7篇。
清水良典
『小さな王国』のような政治小説も、探偵小説も、怪奇幻想小説も、足フェチ小説も、母恋い小説も、みんな谷崎文学という偉大な大樹の、大正期の枝に生った果実である。昭和に入って谷崎文学は急速に日本の伝統に近づき、大家として飛躍的な成長を遂げた。(中略)谷崎の大正期は、決して失われた時代ではない。むしろ作家谷崎が、全力を傾けて拡大と成長に努めた時代だったのであり、その土台が彼を「大谷崎」へと押し上げたのである。――<「解説」より>
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書誌情報
紙版
発売日
2005年03月11日
ISBN
9784061983984
判型
A6
価格
定価:1,540円(本体1,400円)
ページ数
288ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
電子版
発売日
2020年09月11日
JDCN
06A0000000000239506H
初出
底本:本書は、『谷崎潤一郎全集』第二巻、第五巻~第八巻(’66年12月、’67年3月~6月 中央公論社)を底本として使用し、新漢字新かな遣いに改め(但しカタカナは底本に従ったものもある)多少ふりがなを加えました。
収録作品
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作品名初出
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作品名
金色の死
初出
初出:『東京朝日新聞』’14年12月(大正3年)
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作品名
人面疽
初出
初出:『新小説』’18年3月(大正7年)
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作品名
小さな王国
初出
初出:『中外』’18年8月(大正7年)
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作品名
母を恋うる記
初出
初出:『大阪毎日新聞』・『東京日日新聞』’19年1月(大正8年)
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作品名
富美子の足
初出
初出:『雄弁』’19年6月(大正8年)
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作品名
途上
初出
初出:『改造』’20年1月(大正9年)
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作品名
青い花
初出
初出:『改造』’22年3月(大正11年)