
反日感情―韓国・朝鮮人と日本人
ハンニチカンジョウカンコク・チョウセンジントニホンジン

36年間にわたり隣国を植民地として蹂躙し、人々を強制連行したり、「従軍慰安婦」とした戦前。このことに対し、積極的に償いをしてこなかった戦後。隣国との歴史を再検討し、日本に対する彼らの不信感の根拠を探る。
天皇と責任――朝鮮人は、天皇を朝鮮植民地支配の責任者と考える。なぜなら、形式的にではあれ、朝鮮を植民地にしたのは明治天皇の名においてであったからである。大日本帝国憲法第13条は、「天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス」ることを規定していたし、実際に条約の調印にあたる全権代表を任命するのも天皇の仕事であった。また、すべての条約は「天皇の批准に依り完全に確定するものと認められ」ていた……。天皇の批准あるいは裁可がなければ、朝鮮の植民地化もなかったわけである……。さらに、「皇民化」政策と呼ばれた、朝鮮神宮(明治天皇らを祭っていた)などの神社への参拝強要、「皇国臣民ノ誓詞」斉唱の強要、日本語の強要、創氏改名の強要などは、いずれも朝鮮人を昭和天皇の臣民に化そうとするものであった……。1984年に全斗煥大統領が来日したとき、昭和天皇(韓国では「日王」「ヒロヒト」と表記されることが多い)の発言、いわゆる「お言葉」が問題になったのは当然であった。――本書より
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目次
●韓国は「反日教育」をしているのか
●未解決のままの補償問題
●批判される日本の歴史教科書
●指紋押捺は必要だったのか
●天皇と朝鮮人
●被徴用者と遺族の訴え
●「従軍慰安婦」問題と「反韓感情」
●日朝交渉の経過と問題点
●日本の「誇れない歴史」
●植民地統治の清算を
書誌情報
紙版
発売日
1993年08月11日
ISBN
9784061491588
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
1158
ページ数
217ページ
シリーズ
講談社現代新書