女たちの大英帝国

女たちの大英帝国

オンナタチノダイエイテイコク

講談社現代新書

時は19世紀、レディたちは新天地を求めて植民地世界を駆けめぐった。知られざる冒険物語から大英帝国最盛期の光と影を活写する。

「良質のぶあついロング・スカート」──実際、メアリ・キングズリは、そのままハイド・パークを散歩してもおかしくない服装で、ジャングルを歩きまわり、オゴウェ川の急流を自らカヌーを漕いで遡(さかのぼ)り、西アフリカの最高峰、標高1万3500フィート(約4070メートル)のカメルーン山の登頂に成功したのである。コルセットをきちんと締め、ハイカラーのブラウスとぶあつい黒のロング・スカートを身につけ、頭には小さなボンネットをかぶる──西アフリカを旅する彼女のこの姿は、どこから見てもヴィクトリア朝レディそのものであった。いや、19世紀末ともなれば、「ハイカラーの白いブラウスとぶあつい黒のロング・スカート」などという服装はいささか時代遅れだったかもしれない。「でも、そのおかげで私は命を落とさずにすんだのよ」というのが、彼女の答えであり、「良質のぶあついロング・スカート」は彼女の旅のキーワードとなった。──本書より


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目次

●帝国に白人女性の居場所はなかったのか?
●奥方とレディ・トラベラー
●メアリ・キングズリの西アフリカ──良質のぶあついロング・スカートのおかげで
●フローラ・ショウの帝国、フローラ・ルガードの帝国
●西アフリカを志願する看護婦たち──レディと専門職のはざまで
●もうひとりのメアリ──レディ・ミッショナリーの帝国
●帝国を語りはじめた女たち

書誌情報

紙版

発売日

1998年06月19日

ISBN

9784061494077

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

1407

ページ数

246ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介