
日本語の復権
ニホンゴノフッケン
- 著: 加賀野井 秀一

欧米語に比べて日本語は本当にあいまいか。「ムカつく」「キレる」に潜む若者言葉の落とし穴とは。画期的視点で語る日本語論。
甘やかされた日本語――表現能力を察知能力の方が凌駕し、表現よりも表現のポーズの方が珍重されることになれば、やがては、「第二芸術」のように表現者の怠惰をまねき、示唆能力以外の本来の表現力は低下することになるだろう。私たちはこれまで「メシ、フロ、ネル」を甘やかされた日本語という観点から論じてきた。しかし、これがまた甘えから故意にそういう表現をしているというのなら、文化の差だとかなんとか言ってお茶をにごしていればよかったが、表現者の怠惰が幾代も重なり、実際にこうした表現しかできない世代が誕生してきているとしたらどうだろう。さらにまた、そうした怠惰の許される以心伝心の前提が失われ、表現能力の低下を察知能力が補わなくなってきているとしたらどうだろう。――本書より
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目次
●あいまいな日本人?
●言霊は現実を隠蔽する
●なぜ日本語だけが形骸化するのか
●「察知の文化」と「擬似家族社会」
●甘やかされた日本語の末路
●差別用語の言いかえとデノテーション
●「やまと心」はテニヲハに宿る
●結論が末尾にくる日本語は不合理か?
●外からの視点がつくる日本語への偏見
●進化する日本語
書誌情報
紙版
発売日
1999年07月19日
ISBN
9784061494596
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
1459
ページ数
202ページ
シリーズ
講談社現代新書