
グレートジンバブウェ
グレートジンバブウェトウナンアフリカノレキシセカイ
- 著: 吉國 恒雄

グレートジンバブウェの石壁は、蛇のように曲がりくねりながら、多数の入り組んだ空間を作りだしている。直線や直角を嫌い、規則とか定型の類を退けるその姿は、思わずポストモダンと形容したくなるほど、乱雑、気まぐれ、あいまいであって、かつまた、のびやかで優雅な雰囲気をたたえている。(中略)個人の居住空間のかたちは、内部分割に適した四角形になるという必然から自由である。――本書より
アフリカ最大、最高の遺跡は何を語るのか?――黄金交易に湧いた中世から、小国家の分立・割拠を経て、波乱の近世へ。石の巨壁が今に伝える「孤高の文明」の2000年史を活写する!
定型と直線が嫌いな建築原理――谷の遺跡――西アジア・イスラーム文化の影響が強いスワヒリの建物は、直線、直角、対称、円、球などの幾何学的精神に満ちあふれているが、バンツー(ショナ)人の建築の方は、そうしたもののほとんど完全な欠落において際立っている。グレートジンバブウェの石壁は、蛇のように曲がりくねりながら、多数の入り組んだ空間を作りだしている。直線や直角を嫌い、規則とか定型の類を退けるその姿は、思わずポストモダンと形容したくなるほど、乱雑、気まぐれ、あいまいであって、かつまた、のびやかで優雅な雰囲気をたたえている。(中略)個人の居住空間のかたちは、内部分割に適した四角形になるという必然から自由である。むしろ自己完結的な空間が好まれるので、それはいきおい中心のあるかたち、円や楕円に傾斜する。――本書より
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目次
●サバンナ荒野の開拓者たち――環境と文明
孤立と自生の文明
●グレートジンバブウェ――都市と国家の発展
●グレートジンバブウェ――空間構造、シンボリズム、没落
定型と直線が嫌いな建築原理――谷の遺跡
●ムニュムタパ国とポルトガル重商主義――1450年以降
ポルトガルの征服とキリシタン王
●草原の覇者――トルワ国とチャンガミレ国
●近世――1700年以降の小国家時代
近現代――歴史の断絶と連続
書誌情報
紙版
発売日
1999年10月20日
ISBN
9784061494732
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
1473
ページ数
212ページ
シリーズ
講談社現代新書
電子版
発売日
2017年09月01日
JDCN
0614947300100011000X