ユートピアの幻想

ユートピアの幻想

ユートピアノゲンソウ

講談社学術文庫

ギリシア語で〈どこにもない理想郷〉を意味するトマス・モアの造語〈ユートピア〉。プラトンの「国家(ポリティア)」に始まるその古典的淵源から説き起こし、19世紀の社会主義的ユートピア志向を経て、現代のSF化された未来論に至るユートピア思想の変遷を辿る。さまざまな楽園伝説や終末論、諷刺、幻想文学などの隣接領域と対比しながら、比較文化学の視点からユートピア像の多面的な姿を考察した画期的力作。


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目次

●序章 ユートピアとは何か
・1 ユートピアと科学
 「悪口」としてのユートピア/ユートピアと科学/語義の混乱
・2 ユートピアの原義
 トマス・モアとの関連/「否定語」の固有名詞化――言葉の遊び/「どこにもない」ことが現実批判の武器となる ほか
・3 ユートピア・1000年王国論・終末論
 カール・マンハイムの定義/レイモン・リュイエの定義/願望空間と願望時間 ほか
・4 ユートピアの近接領域
 「理想郷の神話」/地上楽園・黄金時代/アルカディア・牧歌・悦楽境 ほか
・5 ユートピアの種類
 社会計画案/文学的ユートピア/文学的ユートピアの手法
●第1章 ユートピアの古典的淵源
・1 仮構の物語(ミュトス)とユートピア
 理想郷の伝説と神話(ミュトス)/理想の国の追憶/ミュトス ほか
・2 祝祭とユートピア
 「国家」を包む雰囲気/サートゥルナーリア/諷刺とユートピア ほか
・3 プラトンの「国家(ポリーティアー)」篇
 知性のロマンス/具体的な変革プラン/ソクラテスの死 ほか
・4 その他のユートピア作品
 ギリシア/ローマ/中世
●第2章 中世からルネッサンスへ
・1 地上楽園
 民衆の楽園/コカーニュの国/プレスター・ジョンの国 ほか
・2 トマス・モアの島
 アメリゴ・ヴェスプッチと未知の国への航海/社会批判/新秩序の建設 ほか
・3 モアとマキアヴェリ
 「教育」/「理想郷の神話」とマキアヴェリズム/イタリア統一の夢想 ほか
・4 ルネッサンスの理想都市
 建築と夢/レオナルド・ダ・ヴィンチ/「古典」の復活建築家
・5 フランソワ・ラブレー以後
 ラブレー/カンパネルラ/ベイコン ほか
●第3章 フランス革命まで
 展望――16世紀より19世紀
・1 イギリス革命のユートピア
 ウィンスタンリ/ハリントン/ホッブス ほか
・2 17世紀のフランス
 シラノ/ドニ・ヴェイラス/フォワニー ほか
・3 啓蒙の時代
 地理上の大発見の終わり/小説・哲学的説話・国

書誌情報

紙版

発売日

1993年10月04日

ISBN

9784061590946

判型

A6

価格

定価:946円(本体860円)

通巻番号

1094

ページ数

286ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

1971年6月潮出版社

著者紹介

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