漢字の起源

漢字の起源

カンジノキゲン

講談社学術文庫

すべての文字には、意味がある。
世にも不思議な文字=漢字は、どうやって誕生したのか?

象形・指事・会意・形声。文字の造り方の四つの原則。漢字は表意文字ではなく、「表語文字」である。例えば、工・攻・扛・江・肛・空は、すべて「貫通」の意を持つ。古代神話、卜占の甲骨文字、謎の羌族、南方言語との関係などを探り、漢字誕生の背景となった文化を探究し、150以上の漢字について、その起源と成立を図解。漢字と漢字文化をわかりやすく解説した漢字学入門書。

紀元100年に、許慎(キョシン)という後漢の篤学の士が『説文(セツモン)』という字典を著わした。この書は中国での最初の字典であると同時に、漢字の成り立ち方を、六種の原則(六書(リクショ)という)に分けて説明した点で、不朽の功績を残したものである。今日では「文字」という熟語にして呼んでいるが、古人は「文」と「字」とを区別していた。許慎先生の説明によると、さまざまな事物を、まるで「もよう」を描くように書き上げたのが「文」であって、文とはつまり紋(もよう)のことである。象形文字や指事文字がそれである。これに対して、すでに出来上がった「文」(もよう・もじ)を組み合わせて、第2次的に増補したのが「字」である。ものが増しふえることを、孳乳(ジニュウ)というが、あたかも動物が子を産み孫をふやすように、しだいに増加していったのがこの「字」であって、それは孳(ふえる)や滋(ふえる)と同じ意味であるという。――<本文より>


  • 前巻
  • 次巻

目次

第1部 漢字文化の起源
 第1章 伝説の時代
 第2章 古代殷帝国
 第3章 羌族のナゾ
 第4章 楚・呉・越――南方の異民族
第2部 漢字の成り立ち
 第1章 漢字を作った四原則
 第2章 人体を表す象形文字
 第3章 性と漢字
 第4章 人間関係を表す会意文字
 第5章 人体を表す形声文字
第3部 漢字歳時記
 春
 夏
 秋
 冬
 社会
 人
 雑

書誌情報

紙版

発売日

2006年11月11日

ISBN

9784061597921

判型

A6

価格

定価:924円(本体840円)

通巻番号

1792

ページ数

240ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

底本:1966年、徳間書店より刊行された『漢字の起源』を底本とした。

著者紹介

製品関連情報