
虚空のランチ
コクウノランチ
- 著: 赤江 瀑

僕の青山 赤江瀑
ときに、小説は僕が生んだ子供たち、あるいは、僕は小説から生まれた眷属、というような感慨を覚えることがある。無論、しょっちゅうそうした肉親感や血脈縁につながる自覚に貫かれているわけではない。しかし、これだけは言えるかもしれない。僕には僕にしか仰ぎ見れない虚空があって、それは秘匿の虚空であって、虚空は僕の猟場であって、僕の小説は、とりもなおさずそこから狩りとってくる獲物のようなものである。したがって虚空、そこはあまねく実りの気配に満ち満ちた、血肉の息吹き滾滾(こんこん)と涌く、言わば僕の青山とでもよべる眺めを持っている所でなければならない。そう考えると、常常僕が感得する「われは虚空の子」という自覚が、いっそう強く深く成りまさってもくるのである。
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書誌情報
紙版
発売日
2001年05月09日
ISBN
9784061821828
判型
新書
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
638ページ
シリーズ
講談社ノベルス
初出
備考参照
収録作品
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作品名初出
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作品名
花夜叉殺し 「別冊小説現代」1972年爽秋号
初出
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作品名
ライオンの中庭 「別冊小説現代」1972年初夏号
初出
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作品名
海贄考 「問題小説」1979年7月号「海の牲」改題
初出
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作品名
絃歌恐れ野 「オール讀物」1978年4月号「絃歌」改題
初出
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作品名
ホタル闇歌 「小説新潮」1973年8月号「殺し螢火怨の閨」改題
初出
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作品名
罪喰い 「小説現代」1973年3月号
初出
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作品名
象の夜 「問題小説」1980年12月号
初出
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作品名
耳飾る風 「週刊小説」1979年10月12日号
初出
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作品名
正倉院の矢 「オール讀物」1975年7月号
初出
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作品名
アリアドネの糸 「週刊文春」1976年12月9日号
初出
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作品名
炎帝よ叫べ 「別冊小説現代」1972年早春号
初出
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作品名
八雲が殺した 「小説宝石」1981年7月号
初出
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作品名
灯籠爛死行 「別冊小説新潮」1973年12月号
初出
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作品名
虚空の馬 「小説現代」1983年2月号
初出
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作品名
阿修羅花伝 「小説現代」1973年12月号
初出
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作品名
破浪神の夢 「野性時代」1978年1月号
初出
著者紹介
著: 赤江 瀑(アカエ バク)