平家物語

平家物語

ヘイケモノガタリ

第23回大佛次郎賞受賞!

「平家」を読む。それはいつでも物の気配に聴き入ることからはじまる。身じろぎして、おもむろに動き出すものがある。それにつれて耳に聴こえはじめるのは、胸の動悸と紛らわしいほどの、ひそかな音である。「平家」が語っている一切はとっくの昔、遠い世におわっているのに、何かのはじまる予感が、胸さわぎを誘うのだろうか。それとも、何かのおわる予感から、胸がざわめきはじめるのだろうか。あることのはじまりは、あることのおわりであり、逆もまた然りとするなら、私が予感とともに待ち受けているのは、まさしくこの世の無常の姿、いのちを享けたものがすべてたどる一栄一落の有様以外のものではない。――本文より


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書誌情報

紙版

発売日

1996年02月20日

ISBN

9784062078344

判型

四六

価格

定価:2,990円(本体2,718円)

ページ数

474ページ

著者紹介