肉体について

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肉体について

ニクタイニツイテ

文芸(単行本)

あの栞というのは、下の方に髪の毛の赤い子供が蹲ってなにかしている絵のついた栞のことだが(いまになってみると、それがにんじんのスケッチだということがわかる)、その栞が忘れられないのは、余白のところに、ペンでこんな文句が書いてあったからである。家庭は愛し愛される者だけで作れぬものであらうか。


おのれの自由にならない肉体を見つめ、人生を振り返る著者最後の小説。
少年の日の思い出を通して語られる家族、優しい光に満ちた日常。

あの栞というのは、下の方に髪の毛の赤い子供が蹲ってなにかしている絵のついた栞のことだが(いまになってみると、それがにんじんのスケッチだということがわかる)、その栞が忘れられないのは、余白のところに、ペンでこんな文句が書いてあったからである。
――家庭は愛し愛される者だけで作れぬものであらうか。――<本文より>


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目次

肉体について
グラッかえり今昔
波間に漂う小舟の上で
老いてゆく自分に好奇心を。
文学的自叙伝
揺籃のころ
出会いの季節
習作時代
亡き師を偲びつつ
好悪をこえるもの
鱒二論語のことなど

書誌情報

紙版

発売日

2011年06月01日

ISBN

9784062169004

判型

四六

価格

定価:1,980円(本体1,800円)

ページ数

182ページ

電子版

発売日

2014年03月20日

JDCN

0621690000100011000L

初出

収録作品参照

収録作品

  • 作品名

    肉体について

    初出

    『群像』2004年2月号~7月号まで連載、以後休載のまま未完。

  • 作品名

    老いてゆく自分に好奇心を。

    初出

    (この一文は、2011年4月、三浦哲郎氏の書斎の整理中見つけられたノートからのもの。『群像』で「肉体について」の連載が開始される前の2000年の日付がふられている。)

  • 作品名

    文学的自叙伝

    初出

    「三浦哲郎短篇小説全集」全3巻1977年講談社刊所収。

  • 作品名

    亡き師を偲びつつ

    初出

    講談社文芸文庫 井伏鱒二「点滴・釣鐘の音」1993年10月刊所収。

  • 作品名

    好悪をこえるもの

    初出

    講談社文芸文庫 井伏鱒二「漂民宇三郎」1990年4月刊所収。

  • 作品名

    鱒二論語のことなど

    初出

    講談社文芸文庫「井伏鱒二対談選」2000年4月刊所収。

著者紹介

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