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ハングリーゴーストとぼくらの夏
ハングリーゴーストトボクラノナツ
- 著: 長江 優子
――「あの塔が戦争中に日本人に殺されたシンガポール人の記念碑と知ったとき、ちょっとショックだった。そういうの、こっちにいれば、だれだってあるよ。私たちは日本にいる子たちよりはやく、底のない万華鏡をのぞいたんだよ」 小学6年生の間中朝芽(まなかはじめ)は、父親の転勤でシンガポールの日本人学校に通うことになった。そこではじめて、加害の歴史に触れる……。史実をもとに描かれる「共生」をテーマにした物語。
「あの塔が戦争中に日本人に殺されたシンガポール人の記念碑と知ったとき、ちょっとショックだった。そういうの、こっちにいれば、だれだってあるよ。私たちは日本にいる子たちよりはやく、底のない万華鏡をのぞいたんだよ」――本文より
小学6年生の間中朝芽(まなかはじめ)は、父親の転勤でシンガポールの日本人学校に通うことになった。新しい生活になじめない朝芽は、近所の植物園にひとりで遊びに行くようになる。そこで、肩にサルを乗せたイギリス人に出会い、「植物標本」のゆくえを聞かれる。どうやら彼は植物学者で、大切な植物標本を失ってしまったらしい。
それから、日本人の老人に、中国人の若者と、次々と不思議な人物に出会う。やがて朝芽は、彼らが過去の人物であることを知り、クラスメイトの主田さん、中国系シンガポール人とのハーフのカズとともに、彼らの探す「植物標本」を現代で見つけようとする。
その過程で明らかになったのは、思いもしなかった加害の歴史と、そのなかで手を取りあい、共生しようとした人々の願いだった。
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書誌情報
紙版
発売日
2014年07月18日
ISBN
9784062190251
判型
四六
価格
定価:1,430円(本体1,300円)
ページ数
226ページ
電子版
発売日
2014年09月05日
JDCN
0621902500100011000E
著者紹介
1971年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。テレビの構成作家として主に子ども番組の制作に携わる。2006年『タイドプール』で第47回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。同作品でデビュー。近著に戦時下における敵国人抑留に光をあてた『ハンナの記憶 I may forgive you』、共感覚をテーマにした『木曜日は曲がりくねった先にある』がある。