アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ

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アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ

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ポーランド軍人、ヴィトルト・ピレツキは1940年9月、自ら志願してアウシュヴィッツへ潜入し、収容所に反ナチ組織を築いたが、発覚寸前の948日目に脱走する。その後も抵抗を続けドイツ敗戦の45年、ピレツキは英雄として祖国に迎えられるはずだった。しかし、ナチスに変わりポーランドを支配したのはソ連であり、彼は次なる敵に対峙するためワルシャワに潜伏する。47年に逮捕。拷問、裁判ののち、48年死刑執行された。


戦後70年である2015年は、アウシュヴィッツ解放70年でもある。1939年ナチス・ドイツに蹂躙されたポーランドは、その国内に絶滅収容所をつくられ、ユダヤ人とともにポーランド人もまた多く収容された。
本書の主人公、ヴィトルト・ピレツキはドイツに占領されたのちロンドンに移ったポーランド亡命政権の騎兵士官で、収容所の実態を世界に知らしむため、かつその解放を目指し、自ら志願してアウシュヴィッツへ潜入した。1940年9月21日のことだった。その後、収容所内に地下組織を築き、悲惨な状況を外部へ伝え、同胞のサポートに回った。しかし、ドイツ側の監視の目にその行動があぶりだされる寸前の1943年4月27日、947日間の潜伏から収容所を脱走する。
その後もナチスへの抵抗は終わらず、44年8月のワルシャワ蜂起までゲリラ戦を挑む。蜂起の失敗後はナチスの手に落ちるが、翌年ドイツは敗戦を迎える。
ナチスに対し勝利したことで、ピレツキは英雄として祖国に迎えいれられるはずだった。しかし、ナチスに変わりポーランドを支配したのはソ連だった。45年以降、ピレツキは亡命政権の一員として反共産主義の戦いを挑むようになる。ソ連の傀儡と化した革命政権下のワルシャワに潜入するも、47年に逮捕される。拷問、暗黒裁判ののち、死刑確定。48年に処刑された。その後ピレツキの名は、ポーランド史から抹殺された。その名と功績が再評価されるのには世紀が変わるまで待たなければならなかった。


  • 前巻
  • 次巻

目次

プロローグ
第I部 ポーランド消滅
第II部 潜入! アウシュヴィッツの九四八日
第III部 ワルシャワ蜂起へ
第IV部 祖国との闘い そして死
エピローグ
あとがき

参考文献・資料

書誌情報

紙版

発売日

2015年05月27日

ISBN

9784062194938

判型

四六

価格

定価:1,870円(本体1,700円)

ページ数

274ページ

電子版

発売日

2015年06月26日

JDCN

0621949300100011000R

著者紹介

著: 小林 公二(コバヤシ コウジ)

1950年三重県生まれ。法学博士。上智大学法学部卒業。1981年~82年ポーランド国立トルン大学大学院へ。留学中にワレサ率いる独立自主管理労組「連帯」の運動や戒厳令の日常を体験、以降、ポーランド、ドイツ、ソ連(ロシア)の歴史を研究し、専門は平和研究。大学教員を経て、現在NPO活動に従事。日本ポーランド協会元事務局長。現在までアウシュヴィッツ訪問20回、ポーランド国内にあるアウシュヴィッツ以外の絶滅収容所5ヵ所をそれぞれ3回訪問している。

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