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文士の遺言 なつかしき作家たちと昭和史
ブンシノユイゴンナツカシキサッカタチトショウワシ
- 著: 半藤 一利
今ではどんな人物だったか知る人も少なくなった、戦後を代表する大作家たち。彼らは、「昭和」という時代をいかに見つめ、実際に生き抜いたのか──。昭和史研究で知られるノンフィクション作家・半藤一利氏が、文藝春秋の編集者時代に間近に接してきた作家たちの素顔とは。彼らが半藤氏に語り残した「遺言」が、今を生きる我々に警鐘を鳴らし、エールを送る。作家の目を通して見る「昭和史」の真実。
戦後を代表する作家たちは、「昭和」という時代をいかに見つめ、実際に生き抜いたのか──。
「歴史探偵」として知られるノンフィクション作家・半藤一利氏は、もともとは文藝春秋の名編集者として鳴らし、あまたの大作家を担当してきました。
そもそも編集者になった経緯からしてユニーク。ボート部員だった大学時代に、高見順原作の映画に撮影協力したことから、「たった一度の縁」にもかかわらず高見順氏の後押しを頼ってみたり、入社8日目には、坂口安吾の原稿取りに行かされ、原稿がもらえずそのまま1週間坂口邸に泊まり込む事態になったり、破天荒な経緯を経て始まった若き頃の編集者人生。
そして、大作家たちから直接受けた薫陶の数々。永井荷風、横光利一、伊藤整、司馬遼太郎、松本清張、丸谷才一、伊藤正徳、阿川弘之……昭和という時代を鋭く活写した彼らとの出会いと別れ、丁々発止のやりとり。作家たちの素顔を生き生きと描きながら、その秘められた「遺言」を今に伝える、作家論・作品論的エッセイ集です。
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目次
第1章 わが人生の道を開く
第2章 司馬遼太郎さんの遺言
第3章 松本清張さんの真髄
第4章 亡き人たちからの伝言
第5章 新しい文学への船出
終 章 平和であれ、穏やかであれ
書誌情報
紙版
発売日
2017年03月22日
ISBN
9784062205207
判型
四六
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
258ページ
電子版
発売日
2017年03月24日
JDCN
0622052000100011000X
初出
収録作品参照
収録作品
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作品名初出
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作品名
悪しき子分
初出
(原題「初めと終り」)「高見順全集」10巻「月報」勁草書房 1971年12月
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作品名
“歴史開眼”のとき
初出
(原題「安吾さんのこと」)「文藝別冊 坂口安吾」河出書房新社 2013年
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作品名
「歴史タンテイ」弟子入り
初出
(原題「『時代の行間』を見つめた安吾」)『望星』2009年6月号 東海教育研究所
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作品名
漂泊の達人、永井荷風
初出
(原題「日本からの亡命者」)「NHK知るを楽しむ私のこだわり人物伝」2008年8‐9月 日本放送出版協会
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作品名
戦争直後の荷風
初出
「荷風全集[第2次]」第13巻「月報14」岩波書店 2010年
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作品名
この世に仕掛けた罠
初出
『季刊アステイオン』No.5 1987年夏 サントリー文化財団・生活文化研究所(編集)
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作品名
よき日本人とは
初出
(原題「古きよき日本人の賞揚」)『清流』1997年4月号 清流出版
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作品名
合理的な戦略戦術こそ
初出
(原題「『桶狭間』と『日本海海戦』二つの戦いに通ずる合理主義とは」)『日経Masters』2003年1月号 日経BP社
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作品名
自然をこれ以上破壊しない!
初出
(原題「司馬遼太郎さんの遺言」)日本サムスン広報誌『いい人に会う』4号2007年3月
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作品名
文学的真実が歴史的真実になるとき
初出
(原題「歴史小説の自由さ」)『季刊文科』第60号2013年9月 鳥影社
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作品名
ノモンハン事件を書かなかった理由
初出
(原題「無謀なノモンハン事件を叱る」)「司馬文学再読12」産経新聞 1996年5月31日付
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作品名
文明のあとに来るもの
初出
『Voice』1997年3月号 PHP研究所
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作品名
ノンフィクションの先駆
初出
(原題「清張さんの骨法」)『ちくま』2008年4月号 筑摩書房
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作品名
『日本の黒い霧』と現代史
初出
「日本の黒い霧 下」「解説」文春文庫 2004年
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作品名
小説に託された裏面史
初出
「球形の荒野 下」「解説」文春文庫 2010年
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作品名
二・二六事件と石原莞爾
初出
(原題「松本清張の昭和史」)『松本清張研究』第16号2015年3月 北九州市立松本清張記念館
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作品名
鴎外の軍事用語
初出
初出不明
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作品名
わが子に贈る五通の手紙
初出
(原題「わが子にも読み聞かせたい五通の手紙」)『プレジデント』2001年9月3日号 プレジデント社
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作品名
犠牲になった人々は浮かばれない
初出
『文藝春秋』2004年9月特別号 文藝春秋
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作品名
志賀直哉の愛した奈良
初出
『ひととき』2005年10月号 ウェッジ
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作品名
『吉井源氏』に学ぶ女性学
初出
(原題「『吉井勇訳 源氏物語』の読みどころ」)『月刊百科』2011年6月号 平凡社
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作品名
玩亭センセイの藝の力
初出
「膝を打つ―丸谷才一エッセイ傑作選2」「解説」文春文庫 2015年
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作品名
史実に向き合い書いた戦争の真実
初出
(原題「追悼 阿川弘之 責任を背負って史実を書いた」)『文藝春秋』2015年10月号 文藝春秋
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作品名
菊池寛、天衣無縫の人生
初出
(原題「生活第一 菊池寛の天衣無縫の人生」)「歩んできた道と人」社団法人日本文芸著作権保護同盟 2003年
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作品名
「文學界」の昭和史
初出
(原題「『文學界』八十年の軌跡『文學界』の昭和史 戦時下の編集後記を中心として」)『文學界』2013年11月号 文藝春秋
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作品名
宮崎駿さんへの手紙
初出
(原題「半藤一利より宮崎駿への手紙」)『AERA』2014年8月11日号 朝日新聞出版
著者紹介
作家。1930年、東京生まれ。1953年、東京大学文学部卒業。同年株式会社文藝春秋入社。「週刊文春」「文藝春秋」各編集長、出版局長、専務取締役などを歴任。退社後、文筆業で活躍。歴史探偵を名乗る。 『日本のいちばん長い日』、『漱石先生ぞな、もし』(正続、新田次郎文学賞)、『ノモンハンの夏』(山本七平賞)など著書多数。『昭和史1926-1945』『昭和史戦後篇1945-1989』(平凡社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。2015年、菊池寛賞受賞。